佐藤浩市&渡辺謙出演 福島原発事故、東電作業員の闘い映画化 20年公開、復興への思い新たに

[ 2018年11月20日 05:00 ]

映画「Fukushima 50」に主演する佐藤浩市(右)と共演の渡辺謙
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 2011年の東日本大震災時の福島第1原発事故を題材にした劇映画「Fukushima 50」が製作される。事故後に決死の覚悟で原発に残った作業員約50人の姿を描く。1・2号機の当直長役で佐藤浩市(57)が主演し、渡辺謙(59)が所長役で共演。「沈まぬ太陽」の若松節朗監督がメガホンをとる。

 「Fukushima 50」とは、海外メディアがつけた作業員約50人の呼称。高濃度の放射能を浴びることを覚悟の上で、被害の拡大を食い止めようとした作業員は、世界中で称賛された。その現場では、一体何が起きていたのか。日本のみならず、世界を震撼(しんかん)させた原発事故の事実が忠実に描かれる。

 原作は門田隆将氏のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)。東京電力関係者ら約90人を精力的に取材した一冊だ。映画では、11年3月11日から15日までの5日間をノンストップで描く。原発の是非を問うような内容ではなく、現場で闘った人間の思いに迫る物語となる。

 佐藤が演じるのは1・2号機当直長を務めた福島県出身の伊崎。次々に起こる不測の事態に対し、第一線で厳しい決断を迫られる。一方、渡辺は吉田昌郎所長役。現場の指揮を執りつつ、本社とのやりとりに奔走する。製作側は「日本、世界に向けて作品を背負ってくれる存在」と2人の起用理由を説明した。

 佐藤は「絶対に忘れてはいけない、繰り返してはいけないことがあります。あの日あの時どういう状況に我々が、日本があったのか?そのことを思い出し、明日のそして後世のための映画を作りたい」、渡辺は「今もなお苦しみの続く福島の方々の思いを受け止めながら、緊迫感あふれる画(え)を積み重ねていきたい」と力を込めた。

 公開は東京五輪開催に合わせた2020年。配給側は「復興五輪のタイミングで、いま一度、震災の記憶と向き合い、復興への思いを新たにする作品にしたい」と説明。世界公開も視野に入れている。

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2018年11月20日のニュース