「麻雀放浪記」斎藤工主演で35年ぶり再映画化、10年がかりアプローチ実った

[ 2018年10月4日 05:41 ]

「麻雀放浪記」再映画化に主演する斎藤工
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 名作の呼び声が高い映画「麻雀放浪記」が、斎藤工(37)主演で35年ぶりに再映画化される。生涯のベスト1というほど前作を愛する斎藤が、10年ほど前から原作の阿佐田哲也氏サイドにアプローチし続けた念願の企画で、タイトルは「麻雀放浪記2020」。主人公の坊や哲が戦後から2020年にタイムスリップする大胆な新解釈で、人工知能と激闘を繰り広げる。

 映画通として知られ「名画をリメークしてオリジナルを超えた作品はほとんどない。それくらいハードルが高く至難の業」とまで言う斎藤が、あえて禁断の領域に足を踏み入れた。かねて映画化を熱望し、11年の映画「明日泣く」で阿佐田氏の半生を演じ思いはさらに加速。「凶悪」、「孤狼の血」などの白石和彌監督(43)にラブコールを送ったことで実現に向け動きだした。

 当初は「前作は奇跡の映画だから、ガチンコでやってもかなわない」と逡巡(しゅんじゅん)した白石監督。だが、哲が時空を放浪するタイムスリップというアイデアが浮かび「哲の持っている昭和の男の強さがゆがんだ現代社会に警鐘を鳴らし、新しい時代に何かを叩きつける一歩になる」と、小説を原案とした脚本を執筆した。

 斎藤も「これは本当に麻雀放浪記か?と思うほど鋭角的でキテレツな世界観にあ然、ぼう然としながらも喉が渇き切るように最後のページまでめくっていた」とぞっこん。「これこそ邦画がいつの日か失った映画の持つ自由表現の行使。とんでもない作品が生まれる瞬間に立ち会えるのでは」と、麻雀技術の修練も積んで撮影に臨んだ。

 現在の麻雀人口はゲームも含め500万人といわれ、今月からプロリーグ(Mリーグ)が開幕と人気復活の兆しが見える中で平成最終月の来年4月5日に公開。斎藤は「リメークというより新装開店、リニューアルに近い。すさまじい世界に酔いしれていただきたい」と期待を寄せている。

 ◇「麻雀放浪記」 戦後復興期を舞台に坊や哲、ドサ健、出目徳ら個性豊かな雀士が生き残りを懸けて激闘を繰り広げるアウトロー小説。1969年から「週刊大衆」で連載がスタートし、当時の麻雀ブームの火付け役となった。単行本は4巻で累計250万部。84年にイラストレーターの和田誠氏の監督で映画化。全編モノクロで真田広之(57)、鹿賀丈史(67)、94年に亡くなった高品格さんらが出演した。

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