鉄腕アトム原画、3500万円で落札 手塚治虫作品史上最高額

[ 2018年5月7日 05:30 ]

5日、パリで競売に掛けられた手塚治虫さんが制作した「鉄腕アトム」の原画(アールキュリアル社提供・共同)
Photo By 共同

 「漫画の神様」と呼ばれた故手塚治虫さんが1950年代後半に制作した代表作「鉄腕アトム」の原画が5日、フランス・パリでオークション(競売)にかけられ、主催者の予想を大幅に上回る26万9400ユーロ(約3500万円)の高値で落札された。

 競売は原画やフィギュアなど、漫画をテーマにしたもの。現地メディアによると、主催の競売会社アールキュリアルは、鉄腕アトムの原画が「日本以外で競売に出品されるのは初めて」としている。手塚さんの原画の競売による落札額としては、日本を含めても史上最高額とみられる。主催者の推定落札額は4万〜6万ユーロ(約524万〜約786万円)だった。出品したのは、オーストラリア在住の収集家。落札者の詳細は明かされなかったが、主催者によると手塚作品を愛好する欧州在住の収集家だという。

 原画は56〜57年ごろに日本の少年漫画誌に掲載された作品の1ページ分で、大きさは縦が35センチ、横が25センチ。主人公のアトムが敵と戦うシーンが6コマ分描かれており、登場人物のセリフが入る「ふきだし」や絵の中の効果音は日本語。キャラクターの派手なアクションや絵が枠線をはみ出すなど、躍動感あふれるタッチが目を引く。

 鉄腕アトムは52年に少年漫画誌で連載が開始され、63年にアニメ化。英語で「Astro Boy(宇宙少年)」と訳され、米国や欧州を中心に海外でも広く放送されて人気を集めた。

 ≪独自の漫画文化発展≫フランスでは従来から「バンデシネ」と呼ばれる独自の漫画文化が発展してきた。日本の漫画は1990年代ごろから輸入されて徐々に浸透。近年は「ドラゴンボール」「NARUTO」「ONE PIECE」などが人気を集めている。2014年には、パリで手塚治虫さんの原画展がフランスで初めて開催された。

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2018年5月7日のニュース