神谷浩史×高橋幸宏 楽曲でも攻める「おそ松さん」 賛否両論あってOK

[ 2018年3月27日 14:30 ]

対談を行った神谷浩史(左)と高橋幸宏
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 テレビアニメ「おそ松さん」で6つ子の三男チョロ松を演じる神谷浩史さんと、第2期第2クールEDテーマ「大人÷6×子供×6」を手がけたYMOの高橋幸宏さんのスペシャル対談の後編。今回は高橋さんが率いる「The おそ松さんズ」の楽曲を中心に話していただきました。(構成・西向智明)

 【神谷】 音源をもらった時点では誰が歌うのか知らなかったんです。聞いてみて「あれ?」と思って現場で「高橋幸宏さんの声じゃない?」と聞いて初めて知りました。「またすごい人たちを巻き込んだな」と驚いたのを覚えています。

 【高橋】 このお話をいただいたきっかけが僕がキュレーターをつとめるロックフェス「ワールド・ハピネス」の2013年開催の時に「The おそ松くんズ」というバンドをやったのがそもそもの始まりで。

 【神谷】 なんで「The おそ松くんズ」だったんですか?

 【高橋】 2013年で「ワールド・ハピネス」が6回目の開催だったというのと、僕が6月6日生まれというのもあって、その年のフェス全体のキー・ビジュアルを「おそ松くん」にさせて頂いたんです。あの時もフジオ・プロダクションの方は快くOKしてくださって。それで気心知れた仲間たちに声をかけて「The おそ松くんズ」を結成し、ヘッドライナーとして出演しました。今回の「The おそ松さんズ」のメンバーも2013年の時とほとんど一緒です。これは面白いことが出来そうだなと思ってお引き受けしました。

 【神谷】 高橋さんたちが歌っている曲に僕らがキャラクターの声を挟んでいくんですけど、「果たして僕らの声をこの曲に入れてしまっていいのか」と思っていましたね。

 【高橋】 あれはあった方がいいですよ。もっと入っていてもいいかもと思ったくらいですから。その前の曲(前クールのROOTS66が歌った「レッツゴー!ムッツゴー!〜6色の虹〜」)も良かったですよね。あれがあるから「おそ松さん」の曲なんですよ。

 【神谷】 ありがとうございます。最初のオンエアまではどうなってるのか分からなかったんですけど、音楽以上に映像がインパクトがあって、驚きました。

 【高橋】 あの映像は驚きましたね。えーっ、マジで?って感じでした。キャラを爆発させるというのは斬新だったなあ。

 【神谷】 曲は一言で言うと安心感でしたね。幸宏さんらしい音楽を、そうそうたる歌手の方々が歌ってらっしゃる。基本的に6つ子が暴れる作品なので、エンディングで大団円というか、すっきり収まる感じがします。

 【高橋】 現場の方にそういっていただけるとありがたいです。YMOだったり、その時代の曲もよく聞かれてたんですか?

 【神谷】 18歳の時、養成所に通い始めて、東京で最初に買ったCDがYMOのアルバムでした。きっかけは「ライディーン」で、「運動会の時によく流れてたあの曲が聞きたい」というものでしたね。音楽には全く詳しくない僕が、気が付いたらYMOの作り出すテクノミュージックのとりこになっていました。そこから少しずつCDを買い集めて…機械で刻まれる正確無比な音楽の間に、全く違うベクトルに感じるコントが入ってきたりして衝撃を受けました。

 【高橋】 (80年のアルバム)「増殖」には「スネークマンショー」のコントを入れましたね。時代に逆らうというより、面白い、やりたいことをやっていました。レコード会社からダメと言われたものも入れちゃったり、下ネタだったりも多かった。タブーを破るのって面白いんですよ。(83年のアルバム)「SERVICE」では曲間に「S.E.T」(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)のコントを入れました。あれもシュールだった。「おそ松さん」もそういうところに面白さがあると思うんですよね。

 【神谷】 第2期はややおとなしくなっていて、僕らも安心した部分があったんですけど、少しビビりすぎていたのかもしれないですね。面白いと思えるなら、もっと攻めてもいいんですね。

 【高橋】 何をやっても良いと思う人と悪いと思う人はいますからね。僕らも曲調を変えたり、新しいことをすれば必ず賛否両論ありましたから。

 【神谷】 そうですよね。もし、この先があるのであれば、もっと攻めたものにしたいですね。

 ◇神谷 浩史(かみや ひろし) 1月28日生まれ、千葉県出身。1994年にデビュー。09年からは歌手活動もスタート。「声優アワード」では一般投票の獲得票数が12〜16年の5年連続で最多となり、殿堂入りを果たした。主な出演作品に「物語シリーズ」(阿良々木暦)、「夏目友人帳」(夏目貴志)、「進撃の巨人」(リヴァイ)など。

 ◇高橋 幸宏(たかはし・ゆきひろ) 1952年(昭27)6月6日、東京都生まれの65歳。武蔵野美術大学在学中の72年に「サディスティック・ミカ・バンド」に参加。解散後、ソロ活動などを経て78年にYMOを結成。個人でも楽曲発表や野外フェス開催など積極的な活動を行い、「pupa」「METAFIVE」など多くのユニット、バンドに参加している。

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