【夢中論】葵わかな、宝塚にハマってんか 朝ドラ撮影10カ月乗り切ったエネルギー源

[ 2018年3月20日 10:00 ]

宝塚観劇が大好きな葵わかな
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 NHK連続テレビ小説「わろてんか」(31日最終回)で熱演を見せてきた葵わかな(19)。初めて親元を離れ、大阪で一人暮らししながら、役と向き合ってきた。「常にお芝居のことを考えていた10カ月」。原動力の一つになったのは、大好きな宝塚観劇だった。

 2月末に迎えたクランクアップ。10カ月演じてきたヒロインの藤岡てんに別れを告げるセレモニーで、くす玉を割った葵は満面の笑みを浮かべた。

 「凄く寂しい気持ちでいっぱいだったし、泣くだろうなと思ってハンカチも用意していたんですよ。でも達成できたうれしさが大き過ぎて。くす玉の中にギュウギュウに詰めていた、てんちゃんがパーンと飛び出したような感覚でしたね」

 初めて親元を離れ、大阪で一人暮らしして臨んだ撮影。土日を除くと、自分のために使える時間は帰宅後の2時間ほど。精神的にも肉体的にも余裕がない中、一心不乱に役と向き合ってきた。

 「元々、学んだり突き詰めたりするのが好きなタイプ。いろいろと考えを巡らせる時間が自分の中で役作りにつながった」

 ヒロインは大阪を「笑いの都」にした明治時代の女性創業家。吉本興業の創業者・吉本せいをモデルにした役だ。どう演じれば役に近づけるのか、ヒロインを生き生きと輝かせることができるのか。「常にお芝居のことを考えていた10カ月でした」

 考え抜いたのが、10〜50代までとなるヒロインをどう表現していくか。「19歳で50代を演じるのだから、素のままではいられない。より良く見てもらうために、持てるすべをフルに使って越えなければいけない壁でした」。意識したのはヒロインの衣装が替わる時。そこを節目に話し方や声のトーン、動作などを段階的に落ち着かせていくようにし、年齢を重ねていくさまを表現。視聴者からは「どんどん風格が出てきた」と評価された。

 小学5年生の時に原宿でスカウトされ芸能界入り。直後に女優デビューして以降、数々の映画やドラマに出演してきたが、10カ月にも及ぶ撮影は今回が初めて。長丁場を乗り切るエネルギーの一つになったのが、大好きな宝塚観劇だった。

 「初めて宝塚大劇場で観劇しました。大阪から近いので、10カ月の間に3、4回行くことができました」。ハマったのは高校1年生の時。タカラジェンヌが宝塚歌劇団の魅力を紹介する番組にゲスト出演したのがきっかけ。普段は東京宝塚劇場で月1回ほどのペースで観劇している。「絵本のような架空の世界観を徹底的に作り上げていて、ほころびがないのが素敵。タカラジェンヌの皆さん、劇場、お店、スタッフさん、全部が宝塚という色で作られてる」

 好きなタカラジェンヌは花組トップの明日海りおと月組トップ娘役の愛希れいか。宝塚大劇場では花組公演「邪馬台国の風」、月組公演「カンパニー〜努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)〜」などを観劇した。「明日海さんは物凄く美形。とても素敵な雰囲気をまとっていて歌声も大好き。愛希さんはいろんな役を演じるのを見てきたけど、一度も同じ人に見えたことがない。(入り待ちや出待ちで)劇場の外に立ったことはないですけど、その気持ちは分かります」

 宝塚を観劇する度に大きな刺激を受けている。「毎公演見ていると、前と変わっている部分がある。100年以上の歴史の中にいる宝塚の皆さんが試行錯誤しているんだから、私も進化しなければと思う。面白かっただけではないものをもらっている気がします」

 「わろてんか」の撮影終了後、休む間もなく、新人看護師役で出演するTBS日曜劇場「ブラックペアン」の撮影がスタート。イマドキの女子高生を演じる主演映画「青夏」も4月にクランクインする。「朝ドラのヒロインをやらせていただいて、役者の仕事がどういうものか前より分かった気がしたし、お芝居が好きになった。宝塚と同じように、好きになったことは好きである限り続けていきたい」

 「好き」を力に変えて、自分が選んだ道を進んでいく。

 ◆葵 わかな(あおい・わかな)1998年(平10)6月30日生まれ、神奈川県出身の19歳。小学5年生だった09年に原宿でスカウトされ、CMでデビュー。12年から14年までアイドルユニット「乙女新党」のメンバーとして活動。17年春から慶応大総合政策学部に在籍している。

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