榎木孝明ショック…浅見光彦シリーズの作家・内田康夫さん死去

[ 2018年3月19日 05:30 ]

第11回日本ミステリー文学大賞を受賞し、喜びを語る内田康夫さん=2008年3月、東京・丸の内の東京会館
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 テレビドラマ化もされた探偵・浅見光彦シリーズで知られる作家の内田康夫(うちだ・やすお)さんが13日午前8時25分、敗血症のため東京都内で死去した。83歳。東京都出身。自宅は長野県軽井沢町。葬儀・告別式は近親者で行った。浅見を演じた俳優陣も突然の訃報にショック。榎木孝明(62)はスポニチ本紙の取材に「まだ大丈夫だと思っていたんですが…」と悲しんだ。

 内田さんは毎日新聞に「孤道」を連載中だった2015年7月に脳梗塞で倒れ、リハビリに励んでいた。昨年3月に「書き続けることが難しくなった」として休筆宣言。同作は浅見シリーズ114作目で、未完のまま出版。完結編を公募し、その締め切りが来月末に迫る中で旅立った。

 榎木は「1カ月くらい前にお見舞いに行った際は、私のことを分かってくれていました」と明かし、「まだ大丈夫だと思っていたんですが…」。家族ぐるみで交流が深かっただけにショックが隠せなかった。

 フジテレビ版のドラマや映画「天河伝説殺人事件」(91年)で浅見を演じ、内田さんから「もっとも浅見のイメージに近い」と絶賛されていた。鮮明に思い出されるのは内田さんと初めて会った30代の頃。顔を合わせるなり「あっ、浅見光彦がいた」と声を掛けられ、「自分にそっくりだよ」と大喜び。榎木は「年をとったら(あなたも)こんな顔になるんだ」と言われた。

 訃報を知ったのはこの日朝。喪主を務めた作家で妻の早坂真紀(はやさか・まき、本名内田由美=うちだ・ゆみ)さんから連絡を受けた。「いつかは、と覚悟はしていましたが、ショックです」と榎木。かねて「延命措置は取らない」と聞いており「奥さまは“笑って送りましょう”と言っていた。素晴らしい作品を数多く残してくださってありがとうございます。ご苦労さまでしたと言いたい」としのんだ。

 内田さんは、CM制作会社の経営をしていた1980年に自費出版した長編「死者の木霊」が注目され、46歳で作家デビュー。82年の「後鳥羽伝説殺人事件」から始まった浅見シリーズで人気に火が付き、西村京太郎さん(87)と並ぶ旅情ミステリーの書き手として活躍した。浅見役は榎木のほか、辰巳琢郎(59)、中村俊介(43)らが演じてきた。

 ▼妻で作家の早坂真紀さん 新聞連載していた小説「孤道」を完結させられなかったことには悔いがあり、療養中も「自分で書きたかった」と言っていたが、最終的には満足して亡くなったと思う。「孤道」の完結編を公募したことで「いい作品が集まるといいね」とも話していた。最期は本当に穏やかで、今にも笑いだすのではないかと思うほどだった。

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