アカデミー賞作品賞は「シェイプ・オブ・ウォーター」最多4冠 今年は発表間違えず

[ 2018年3月5日 13:45 ]

作品賞に輝いた「シェイプ・オブ・ウォーター」の出演者、監督ら(AP)
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 映画界最大の祭典、第90回米アカデミー賞の発表・授賞式が4日(日本時間5日)、米ロサンゼルス・ハリウッドのドルビー・シアターで開かれ、作品賞は最多13部門にノミネートされた「シェイプ・オブ・ウォーター」(監督ギレルモ・デル・トロ)が受賞した。作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞と最多4冠を達成。昨年は作品賞の発表間違い・訂正という前代未聞のハプニングがあったが、今年は無事に終わった。

 登壇したギレルモ・デル・トロ監督(53)は、昨年に続いて2年連続して作品賞のプレゼンターを務めた女優フェイ・ダナウェイ(77)とハグ。俳優ウォーレン・ベイティ(80)が持っていたカードを手に取り、カードを確認して笑顔。ベイティとも抱き合った。今年はベイティが間違うことなく読み上げた。

 ギレルモ・デル・トロ監督は「1週間前、スピルバーグ監督が言いました。もし受賞したら、レガシーの一部なんだと。フィルムメーカーの世界の一員なんだ、誇りに思えと。本当に誇りに思っています。これを捧げたいのは若い人たちです。あらゆる国で状況を変えようとしている若い人たちに捧げます。私が子供だった頃、メキシコで育っていて、こういったことが起こるとは想像もしていませんでした。しかし、それが実現しました。夢を見ている人たち、ファンタジーを使って現実について語りたいと思っている人たちに伝えたいです。夢は実現するんです。切り開いて中に入ってきてください」とスピーチした。

 2007年のアカデミー賞脚本賞にノミネートされたダーク・ファンタジー「パンズ・ラビリンス」や、菊地凛子(37)や芦田愛菜(13)が出演したSF「パシフィック・リム」などで知られるメキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督による究極のファンタジー・ロマンス。前哨戦の全米プロデューサー組合(PGA)賞、全米監督組合(DGA)賞を制していた。

 1962年、冷戦下を米国を舞台に、政府の極秘研究所に勤める清掃員・イライザとアマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”が、種族を超えて心を通わす姿を、ユーモラスかつサスペンスフルに描く。

 幼少期のトラウマから声が出ない孤独なヒロインを、「ブルージャスミン」で14年のアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた英女優サリー・ホーキンス(41)が表情豊かに演じ上げた。

 17年8月の第74回ベネチア国際映画祭で最高賞・金獅子賞を受賞。今月1日に日本公開されたばかり。受賞効果によるヒットが期待される。

 【作品賞】「シェイプ・オブ・ウォーター」

 【主演男優賞】ゲイリー・オールドマン「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

 【主演女優賞】フランシス・マクドーマンド「スリー・ビルボード」

 【助演男優賞】サム・ロックウェル「スリー・ビルボード」

 【助演女優賞】アリソン・ジャネイ「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

 【監督賞】ギレルモ・デル・トロ「シェイプ・オブ・ウォーター」

 【脚本賞】「ゲット・アウト」

 【脚色賞】「君の名前で僕を呼んで」

 【撮影賞】「ブレードランナー2049」

 【美術賞】「シェイプ・オブ・ウォーター」

 【音響編集賞】「ダンケルク」

 【録音賞】「ダンケルク」

 【編集賞】「ダンケルク」

 【作曲賞】「シェイプ・オブ・ウォーター」

 【歌曲賞】“Remenber Me”「リメンバー・ミー」

 【衣装デザイン賞】「ファントム・スレッド」

 【メイクアップ・ヘアスタイリング賞】「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

 【視覚効果賞】「ブレードランナー2049」

 【外国語映画賞】「ナチュラルウーマン」(チリ)

 【長編アニメ映画賞】「リメンバー・ミー」

 【短編アニメ映画賞】「ディア・バスケットボール(原題)」

 【短編実写映画賞】「ザ・サイレント・チャイルド(原題)」

 【長編ドキュメンタリー賞】「イカロス」

 【短編ドキュメンタリー賞】「ヘブン・イズ・ア・トラフィック・ジャム・オン・ザ・405(原題)」

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