大杉漣さん 急逝1カ月前に韓国で語る「もうちょっと生きたいなって…」

[ 2018年3月2日 23:44 ]

大杉漣さん
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 先月21日に亡くなった俳優の大杉漣さん(享年66)が生前、韓国でロケ収録に参加していた日本テレビ系「アナザースカイ」(金曜後11・00)が2日放送され、自ら「死」について語った部分が放送された。

 番組冒頭、司会の今田耕司(51)が放送に至る経緯を説明。VTRは今年1月中旬に収録したもので、予定では大杉さんを交えたトーク部分を後に収録する予定だったが、今回は遺族、事務所とスタッフが話し合い、ロケ部分のVTRの放送を決めたと話した。

 番組では大杉さんが韓国・釜山を訪れた様子に密着。かつて所属していた「転形劇場」ではセリフを一切使わない「沈黙劇」と呼ばれる演劇が海外での評価が高く世界中で舞台公演を展開、その一環として初めて韓国を訪れたのは今から30年前だった。当時釜山やソウルで公演を行ったが、既にその時に劇団の解散が決まっており「楽屋は物苦しい雰囲気」だったと振り返った。

 大杉さんにとって韓国は「劇団の解散」という人生の転機となる場所だった。最初はできることなら解散せず、舞台俳優を全うしたかったというが、解散したとたんに「自由」を感じたという大杉さんはその後、活躍の舞台を劇場から映像へと移した。当初はVシネマでの出演を続けていたが、北野武監督(71)の映画で沈黙劇で培った演技を生かすことができ「16年間の舞台俳優としての人生は無駄じゃなかった」と話した。

 大杉さんは人生の転機となった韓国でのロケ中、自らの「死」についても語っていた。釜山の劇場では「いつか僕も、すごくリアルに考えなくちゃいけない『死』っていうものがあるんでしょうし。ただ僕ね、あの〜、死にたくないとも思わないし、死にたいって思わないけど、死ぬまでの間に俳優としてどれだけできるかってのは分からない」と話す一方で、夕食の場では「申し訳ないけど、僕はもうちょっと生きたいなって思ってます。ていうか、僕はもうちょっとやりたいこともあるので。66歳でも希望がいっぱいありますよ」とこの先の人生の展望を語る場面もあった。

 最後に大杉さんは、30年前に舞台公演を行った釜山の劇場で高田渡の「生活の柄」を自ら持ち込んだギターとハーモニカを使って弾き語り、その演奏と重なるようにナレーションで「漣さん、向こうでも楽しんでください」というメッセージが流れ番組は終了した。

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2018年3月2日のニュース