久保王将連勝なるか 第3局も1日目から激しい展開に

[ 2018年2月4日 05:30 ]

第67期王将戦7番勝負第3局第1日 ( 2018年2月3日    栃木県大田原市・ホテル花月 )

王将戦第3局第1日に臨んだ豊島八段(左)と久保王将
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 久保利明王将(42)、豊島将之八段(27)ともに1勝で迎えた第3局が開幕した。序盤から定跡を離れる力戦型の相振り飛車に。久保の誘いをかわした豊島が駒損しながらも積極的に仕掛け、1日目から激しい展開となった。4日の2日目は午前9時から対局が再開される。

 先手番の久保は11手目、飛車を6筋に振った。昨年は3局目まで全て振る筋を変えた振り飛車のスペシャリストは、今シリーズ全て四間飛車を選択。もちろんひと工夫は欠かさない。13手目[先]9七角と端に上がり、豊島の駒組みをけん制した。

 「これだけ早く角をのぞくのはプロでは珍しい」と控室。香で角頭を狙われれば5三銀と交換し、香を抜き返す2枚換えで先手優勢になる。だが久保は25手目[先]8六歩(第1図)でその順を消す。「角を取られても、9筋から逆襲できるという強気な手だろう」と控室。慎重に読みを入れた豊島は穏やかな順を選び、両者ともやや珍しい「金無双」という囲いに組んだ。

 久保の誘いをかわした形の豊島は、午後に入り一転仕掛ける。久保の着席前に対局が再開され、直後に38手目[後]5五歩とぶつけた。角を2筋に移し、ほぼ時間を使わず次々に歩を切る。56手目[後]4六角と切って飛車を成り込み、局面は一気に激しい展開を迎えた。

 今局は体力勝負の意味合いが強い。2人は1日、大阪で大詰めのA級順位戦を戦い、6勝3敗の首位で並んだばかり。逆転負けを喫した豊島の終局は翌日午前1時近く、帰宅は3時ごろになった。

 豊島には将棋ファンの間で「序盤、中盤、終盤スキがない」というキャッチコピーが定着している。2012年のテレビ棋戦の対局でこの名言を残した佐藤紳哉七段(40)は、今局の副立会人。「思いは今も変わらない。全てでパワーアップしている」と語る。

 豊島と佐藤は対局場入りした2日、最寄りの那須塩原駅からタクシーに同乗した。「(前夜の敗戦で)疲れや落胆はあるはずなのに、気を張っている感じだった」と佐藤。先輩の前でという以上に、挑戦者としてのプライドを感じさせる。

 過去2局と同様、1日目で早くも終盤戦に突入した。「駒損なので切れないよう攻めるしかない」と決意の豊島に「ミスが命取りになる。気を緩めないように」と慎重な久保。挑戦者の大胆な仕掛けの中に、王者はスキを見つけたのだろうか。

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