伊東蒼 史上2番目年少でスポニチGP新人賞 夢は“天下獲り”

[ 2018年1月18日 05:30 ]

2017年毎日映画コンクール

史上2番目の若さでスポニチグランプリ新人賞を獲得し喜ぶ伊東蒼
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 2017年毎日映画コンクール(第72回)の各賞が17日、決定した。みずみずしい演技で魅了した新鋭を称えるスポニチグランプリ新人賞には「散歩する侵略者」の高杉真宙(21)と「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」の伊東蒼(12)が選ばれた。表彰式は2月15日、川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールで行われる。

 小学6年生の伊東が新人賞を射止めた。12歳の栄誉は4年前に「おしん」で受賞した濱田ここねの9歳(当時)に次ぐ若さだ。

 受賞内定の一報はスーパーでの買い物中に母親の携帯に飛び込んできた。最初は信じられなかったというが、じわじわ実感が湧いてきた。「すっごくうれしくておうちに帰ってから泣いちゃいました」

 沖縄を拠点に活動する作曲家・普久原恒勇氏の名曲「島々清しゃ」がつなぐ人と人との絆を新藤風監督が丹念に紡いだ作品で、いつも耳当てをしている少女「花島うみ」を演じた。耳が良すぎて少しの音のズレでも頭が痛くなり、それが原因で母親や周りの子供たちとの関係もぎくしゃく。さまざまな心模様を小さな体に内包し、銀幕の中にけなげに生きてみせた演技は秀逸だった。

 「撮影中も、うみちゃんは例えば波の音や鳥の鳴き声は好きだろうな。でも黒板をひっかく音を聞いた時は“イヤーっ”てなるだろうな…とか、考えるようにしてました」

 慶良間諸島を訪れたバイオリニスト(安藤サクラ)を通じて手にしたフルートが心を解放していく。楽器はリコーダーくらいしか縁がなかったそうだが、みるみる上達。テープで覚えた沖縄方言も違和感なく聞こえたから彼女自身も大変な音感の持ち主だ。

 監督や安藤への感謝を忘れない。「安藤さんは沖縄の木の話をしてくれたりしてリラックスさせてくれました。“くねくねした木はひねくれている。真っすぐ伸びた木は根性がいいんだよ”って。監督は、ベッドで泣くシーンが終わった時に“良くできました”と言ってギュッと(ハグ)してくれました」

 夢がある。「お芝居が素敵な人って誰?っていう話になった時に自分の名前が出てくるような女優さんになりたいし、監督にも挑戦してみたいんです」と瞳を輝かせる。

 4月からは中学生。勉強は国語と歴史と図工が好きという。「戦国武将、特に豊臣秀吉と石田三成が好き」と話すのは、やはり大阪在住ゆえか。女優として、監督として、天下を獲る日が来そうだ。

 ◆伊東 蒼(いとう・あおい)2005年(平17)9月16日、大阪府生まれの12歳。芦田愛菜と同じ事務所ジョビィキッズ所属。主な出演作はNHK大河ドラマ「平清盛」(12年)、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」(16年)など。

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