藤井四段 名人破った!タイトル保持者と公式戦初対局で白星「凄く自信に」

[ 2018年1月15日 05:30 ]

朝日杯将棋オープン戦の本戦トーナメント準々決勝で佐藤天彦名人(左)との対局に挑む藤井聡太四段
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 最年少プロ棋士、藤井聡太四段(15)が14日、名古屋市内で行われた朝日杯将棋オープン戦の本戦トーナメント準々決勝で佐藤天彦名人(29)を121手で下した。タイトル保持者との公式戦初対局を白星で飾った。来月17日に都内で行われる準決勝では羽生善治竜王(47)と公式戦で初めて対戦する。

 40分の持ち時間を互いに使い果たした1分将棋の戦いを終え、静かに頭を垂れて投了を告げた佐藤を前に、頬を少し紅潮させた藤井。終局後、奨励会に入る前の小学4年の文集に「名人をこす」としたためたことに質問が及ぶと「今から考えたら凄いことを書いたなって。今日は勝つことができたがたまたま。実力はまだまだで超えたということではない」と謙遜。一方で普段あまり見せない中学生らしい屈託のない笑顔を浮かべた。

 一昨年10月にプロになって以降、初めての地元・愛知県内での公式戦。公開対局となった会場には熱心な将棋ファン580人が駆けつけ、本人も「なかなかこういう機会はない。対局者としてうれしい」と応援を力に変えた。終局の瞬間には、別室の大盤解説会でモニターを見つめていたファンの「ウォー!!」という大歓声や拍手の嵐が館内に響き渡った。

 午前中の1回戦で澤田真吾六段(26)を破ると、憧れの名人に真っ向勝負を挑んだ。戦型は佐藤が十八番とし、自らは苦手(0勝3敗)なデータがある「横歩取り」をあえて選択。それでも、中盤から押して押して押しまくり、現役タイトル保持者との公式戦初対戦で初勝利という快挙を成し遂げた。

 「名人と戦って勝てたということは凄く自信になった」と振り返った。藤井が次に挑むのは、中学生棋士による棋戦初優勝と、タイトル戦以外の一般棋戦優勝の最年少記録更新。後者の記録保持者は加藤一二三・九段(78)で、1955年に六・五・四段戦(現在は終了)で達成した15歳10カ月。藤井が朝日杯を制すれば15歳6カ月の新記録となる。

 ただ、その前に立ちはだかるのは「将棋を始めたころからの憧れ」という羽生竜王。公式戦初対局を前に「全力を尽くして戦えれば」と、名人と並ぶ棋界の看板冠保持者で永世7冠の資格を持ち、国民栄誉賞にも決まっている第一人者に挑む構えだ。昨年、29連勝という史上最多記録を作ったスーパー中学生なら、次の関門も突破する可能性は十分にある。

 ▼藤井VSタイトル保持者 昨年2月に「AbemaTV」の企画で羽生3冠(当時)と初対戦し、藤井が勝利。結果は4月に配信され、大きな話題を呼んだ。羽生とは3月に映画「3月のライオン」の企画でも対局したが、この時は敗れた。同12月には「囲碁・将棋チャンネル」が名古屋で開催したイベント内で久保王将と公開対局に臨み、劣勢から逆転勝利を収めた。

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