【消えた天才】若乃花&吉田秀彦が1度も勝てなかった神童…挫折の末、華麗なる転身

[ 2018年1月2日 12:10 ]

若乃花(左)と吉田秀彦
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 第66代横綱・若乃花の花田虎上(46)、バルセロナ五輪・金メダリストの吉田秀彦(48)。大相撲と柔道、異なるスポーツで頂点を極めた2人が口を揃えて「勝てなかった」と語る神童が存在していた―。だが、その神童は角界でも柔道界でも目立った成績を残せないまま表舞台からその姿を消した。男の名前は秦光秀(47)。秦の波乱に満ちた人生とは。

 花田は「わんぱく相撲を始めてからの目標」と秦を評する。わずか3秒、突っ張り3発で秦に敗れ、けた違いの強さを目の当たりにした。「彼はいつも優勝。負けというものを知らないのでは」と振り返る。その言葉の通り、秦は小学4年から6年にかけて、相撲の全国大会3連覇。まさに無敵だった。そして2人はともに明大中野中学に進学。しかし、秦は相撲部には入らず柔道部に入部した。

 実は秦、柔道でもさまざまな中学校からスカウトが来るほどの逸材だった。吉田は当時、「めちゃくちゃ強い。こんなやつに勝てるわけがない」と感じていたという。秦は柔道でも中学の全国大会優勝を果たし、高校時代にはのちのオリンピック金メダリスト候補と呼ばれるまでに成長した。

 ところが、19歳のとき、秦を人生最大の悲劇に見舞われ、柔道を辞めてしまう。その後、別の世界への転身を試みるも、スター街道を歩き続けてきたプライドが邪魔をしてうだつが上がらず失敗。人生2度目の挫折に「死にたい。もういなくなっちゃいたい」と感じる日々が続いていた。

 一方そのころ、若乃花は角界で頭角を現し、22歳で幕内初優勝。どん底に落ちていた秦を救ったのはこの時の若乃花の幕内初優勝インタビューで発した言葉だった。優勝しても謙虚に上を目指す姿が秦の心を打った。その言葉をきっかけに“天才のプライド”を捨て、どんな仕事にも真剣に向き合うようになったという。

 現在の秦は華麗なる転身を遂げ、大成功。3日放送のTBS「消えた天才 一流アスリートが勝てなかった人大追跡」(後6・00)では秦の“今”を大追跡。相撲、柔道に対する後悔の念、そして現在の仕事の原動力となっているものを赤裸々に語る。(文中敬称略、年齢は2018年現在)

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