物議醸す女芸人No.1決定戦、見届けたい今年の“宿題”の答え

[ 2017年12月18日 10:30 ]

女芸人No.1決定戦「THE W」初代女王となり賞金1000万円を獲得したゆりやんレトリィバァ
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 ゆりやんレトリィバァ(27)が初代女王に輝いた女芸人No.1決定戦「THE W」がファンの間で物議を醸している。第1回大会とあって、全体的にゆる〜い感じ。実際に暗転のタイミングが悪かったり、ネタ直前にCMに入ったりと演者が集中力を欠くような展開だった。

 会場も独特で、司会やゲストのいる席と逆側に舞台があり、ネタが終了する度に毎回、観客が司会席に向きを変える作り。これでは気ぜわしくて、舞台への集中力が散漫になるのも仕方ない。賞金1000万円と夢のある大会だし、松本人志(54)と放送作家・高須光聖氏(53)の副音声はネットでの評判も高かっただけに、このままではもったいない。

 お笑いコンテストは「会場」の仕上がりにも左右される。とろサーモンが第13代王者に輝いたM―1グランプリは、テレビ朝日のスタジオに400人の会場を特設。アリーナにイスを並べ、ひな壇を組み合わせた形で、コロシアムをコンセプトにしている。舞台から演者までの距離も2メートル弱と近く「ひな壇の観客と演者の目線が合う高さになっており、とにかく観客に囲まれている印象が強い」(関係者)という。局側は「壁が見えないくらい観客でギチギチに」との狙いで、空間を隙間なく埋めることで一体感を生み出している。

 キングオブコント(KOC)やR―1ぐらんぷりは、M―1よりも観客数が少ない。決勝に進出したことのある芸人は「観客数はKOCが300人弱。R―1は150人弱のイメージ。観客が多いほど芸人のテンションも上がります。M―1は番組としても賞レースを意識したあおり方が上手い」と指摘する。舞台については、KOCは無機質なパネルが背景にあり演者にとってはやりやすい環境だが、R―1は背景がド派手な電飾で「目がチカチカする」(前出芸人)ため、観客が理解するに時間のかかる、設定が難しいコントは向いていないという。

 今年のM―1の平均視聴率は15・4%(関東地区、ビデオリサーチ)と昨年の13・8%から上がっており、関西地区では24・0%を記録するなど老舗のブランド力をみせた。観覧応募も昨年の1万人から1万6000人にアップしているという。

 決勝ラウンドで審査員の上沼恵美子がマヂカルラブリーに対して「本気でやってるっちゅうねん、こっちも!」と怒鳴ったが、これも真剣に向き合ってるからだ。M―1も第1回大会から積み重ねて、現在の形に行き着いた。演者も含めスタッフの熱量があってこそ、コンテストは盛り上がる。女芸人による初めての大会「W」が今年の宿題にどんな答えを出すのか、しっかりと見届けたい。(記者コラム)

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2017年12月18日のニュース