「池の水ぜんぶ抜く」“外来種ハンター”加藤先生が語る魅力「教材としても価値ある」

[ 2017年11月24日 08:00 ]

「池の水ぜんぶ抜く」シリーズに外来生物の専門家として出演している静岡大学教育学部講師の加藤英明博士(右端)(左から田中直樹、田村淳)(C)テレビ東京
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 テレビ東京の人気企画「池の水ぜんぶ抜く」のシリーズ第5弾、日曜ビッグバラエティ「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦5」(後7・54)が26日に放送される。同番組に外来生物の専門家として出演しているのが、静岡大学教育学部講師の加藤英明博士。第1弾から外来生物の捕獲に奮闘し、“外来種ハンター”としておなじみになった同氏が、「教材としても非常に価値がある」と教育者としての観点から番組の魅力を語った。

 今年1月15日に第1弾が放送されると、一気にヒット作となった同番組。9月3日放送の第4弾では初の2桁視聴率11・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマーク。加藤氏は「環境に興味を持つようになった人がかなり多くなったのではないかと思います」と反響の大きさを喜ぶ。

 “池の水を抜くだけ”の異色の試みが話題となっている同番組だが、池の中に潜む外来種の駆除を行うことで環境改善にも貢献している。加藤氏は「とても教育的な要素が強い」と番組の特徴を力説する。

 「バラエティー番組として楽しみつつ、子供たちが自然を学ぶことができるのは大きいですね。番組のおかげで身近にある自然を少し覗いてみようかなと思う子供たちが増えているような印象を受けています。身近な環境が外来種に脅かされている現状を知ることができますし、水を抜くことによって環境保全にもなる。かなりいい番組だと感じています」。

 カメやトカゲの保全生態学的研究を行いながら、勤務する静岡大学などで環境教育活動を行っている加藤氏。同番組は講義の資料としても役立っているという。「番組を教科書と一緒に見せることもありますよ。教材としても非常に価値があります。私が教えているのは教育学部なので、学生たちは将来、教員になると思います。教員になった時に(自然についての)現状を知っている人が教えることが大切です。この番組を見れば、外来種問題など身近に起こっている課題というものを知ることができますよね」

 番組出演以前から外来種問題に警鐘を鳴らし続け、それまでは一人で外来種を取り除くこともあったという。「でも、一人で外来種を駆除してもイタチごっこなんです。駆除をしても、地元の人から『きのうアカミミ亀を3匹捨てに来ていた人がいたよ』と言われたこともありました」と苦労を明かす。

 だが、同番組のヒットによって外来種に対する関心が以前よりも高まっている。「メディアにお世話になりながら外来種問題を啓発することが大事だと痛感しました。例えば、カミツキガメが捕獲されましたというニュースが紹介されるだけでも、“身近にいる亀は何という種類なのだろう”とか、“通報しなければいけないのかな”と思っていただけるかもしれません。メディアの力を借りて外来種問題を解決できればと思っています」と願った。

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