「排除」される気は「さらさらない」創業者の分かりにくさと希望の灯

[ 2017年10月30日 09:30 ]

25日、希望の党の両院議員懇談会であいさつを終え、一礼する小池百合子代表
Photo By 共同

 【小池聡の今日も手探り】分かりやすい。予想した通りの展開となった。10月25日に国会内で開かれた希望の党の両院議員懇談会。民進党系議員から衆院選敗北の戦犯として「排除」するかのように小池百合子代表(東京都知事)の辞任を求める声が噴出。これに対し続投を表明した小池氏。追い出される形で辞任する気など「さらさらない」と言ったところか。火種は残ったまま。火消し役はいるのだろうか。

 分かりにくい。今後も続けるという二足のわらじをめぐる発言だ。「排除発言」などで党勢の失速を招き、政権交代どころか公示前勢力も維持できず、さすがの女傑も懇談会で反省の弁を繰り返さざるを得なかったようだが、「私は都政に邁進(まいしん)したい」「国政は国会議員に委ねる」と党運営に距離を置く姿勢を強調しながら「創業者としての責任があり(代表を)続けたい」とも話した。結局、わらじは二足のまま。真の軸足はどちらなのだろうか。

 「分かりにくいように話しているのだと思いますよ。実は代表を辞めるべきかどうか悩んでいた」。こう言うのは、小池氏側と距離が近い永田町関係者。「最小限のダメージにするための結論。党運営に距離を置いて責任を取ると。だけど、代表は辞めない。ここで辞めたら、国政(復帰)への道が絶たれてしまうかもしれない。とどまるしかないんですよ。だけど、希望の党をどうしていくか、この先の見通しがあるわけでもない。小池さん自身、分からないんですよ」。

 知事選、そして都議選と2年続けて自民党相手の夏の陣に「完勝」(小池氏)してきたが、今回は敗戦。それも「完敗」(同)だ。同関係者は見通しの悪さに関して「少なすぎる議席数」に言及。小池氏側のそろばん勘定について「当初は150〜180議席と見込んでいたが、公示前後には100議席、それが70〜80議席に減っていって、選挙戦終盤には野党第1党。結果は50議席で野党第2党にまで転落した」とし、「小池さんは今は耐えるしかない。希望の党は分裂含みだ」と付け加えた。

 分裂含み…議論を呼んだ“純化路線”の末のこのゴタゴタは何なのだろう。民進党の合流話は前原誠司代表が主導したが、最終的には個々の判断。政策協定なる「踏み絵」を踏まず、比例代表での復活がない無所属候補として挑む道もあった。民進党系議員たちが代表辞任を強く迫った両院議員懇談会の混乱を見て、「大挙して小池人気にあやかろうとしておいて、何を今さら」と冷めた視線を送る有権者は少なからずいるのではないか。

 党内対立をいつまでも引きずるまとまりのなさは、旧民主党時代からお家芸と揶揄(やゆ)されてきた。この負のDNAが新しい党にも受け継がれているとすれば不幸な話だ。総選挙で希望の党が得た票数は比例代表で約968万にも及ぶ。自民党(約1856万)、立憲民主党(約1108万)に次ぐ第3党だ。政党は誰のものか。あらためて考えさせられる。(編集委員)

 ◆小池 聡(こいけ・さとる)1965年、東京都生まれ。89年、スポニチ入社。文化社会部所属。趣味は釣り。10数年前にデスク業務に就いた際、日帰り釣行が厳しくなった渓流でのフライフィッシングから海のルアー釣りに転向。基本は岸から気ままにターゲットを狙う「陸(おか)っぱり」。

続きを表示

この記事のフォト

2017年10月30日のニュース