大物スターの会見を違う意味で楽しんじゃった!

[ 2017年10月29日 09:00 ]

映画「ブレードランナー2049」の来日会見を行った(左から)アナ・デ・アルマス、ハリソン・フォード、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ジルヴィア・フークス
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】ハリウッドの大物俳優ハリソン・フォード(75)の来日会見をのぞいた。10月23日、東京都の小池百合子知事(65)が代表を務める希望の党が大きく沈んだ衆院選投開票日の翌日のことだ。

 10月27日公開の主演映画「ブレードランナー2049」のPRが目的。2008年の「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」以来、9年ぶり(10度目)の日本上陸とあって、東京・六本木のザ・リッツ・カールトン東京には200人を超える報道陣が詰めかけた。

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(50)に加え、アナ・デ・アルマス(29)とジルヴィア・フークス(34)の女優陣が同席したが、ハリソンは75歳には見えない若々しさで、さすがの貫録だった。

 リドリー・スコット監督(79)がメガホンを取り、82年に発表した「ブレードランナー」の舞台は2019年の世界だった。作品の評価は高く、「SF映画の金字塔」と称えられているが、タイトルからも分かるように、その30年後を描いのが今作だ。

 レプリカント(人造人間)を取り締まる捜査官を引退したデッカードを演じたハリソンは冒頭、「最初の作品の反響が日本で良かった。また楽しんでいただけることをうれしく思う」と笑顔であいさつした。

 進行役からの2、3の質問を経て報道陣との質疑応答となったが、2番目に指名された民放キー局の女性リポーターが問いかけたのが「時間があったらどこに行きたいか?」という、料理で言うなら“箸休め”のようなゆる〜いクエスチョン。内心どう思ったかは分からないが、そこは大スター。「京都にも5度行っているし、今度は車で地方をぐるぐる回りたい」と、紳士的に答えた。

 次に指名されたのも民放キー局の男性アナウンサー。劇中のハリソンをまねたファッションに身を包んでおり、「似合ってますか?」と尋ねる始末。ハリソンも苦笑いするしかなかった。

 登場からフォトセッションまでわずか45分しかない会見。個別取材も厳しく制限されたと聞く。開かれた会見の場では何を尋ねても構わないと思うが、映画の中身から離れた質問が続けば登壇者に失礼になる。進行役にせっかく当ててもらったのだから「行きたいところ」や“みてくれ”を聞くくらいなら、ハリウッドに激震を走らせているハーベイ・ワインスタイン氏(65)のセクハラ疑惑について聞いた方がましだったような気がした。「ノーコメント」だったかもしれないが…。

 総選挙翌日の会見。さしものハリソンの会見でもワイドショーや情報番組が割ける時間はほんのわずかだろう。いや扱えない可能性だってある。そんな状況を考慮し、ひょっとしたら「少しでも扱う」という密約が映画会社とテレビ局の間にあったのかもしれない。「質問の中身についてはあえて問わないから」と…。何ともミステリアス。次第にそんなことを考え始め、意外や会見を楽しんでいる自分がいた。

 さて、登壇した2人の女優はどちらも美しかったが、とりわけキューバ出身のアナに魅了された。「19歳の時にスパニッシュ映画祭で来日して以来2度目」だそうだが、日本でも人気が出そうな気がする。この名前、忘れないようにしよう。これも収穫だった。(編集委員)

 ◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。

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