北海道で多発するイクラ盗難事件 高騰で飲食店も悲鳴「アラスカ産使うかも」

[ 2017年10月27日 10:10 ]

 今年も北海道で気になる窃盗事件が多発している。サケの卵(イクラ)が盗まれる事件で、養殖場の雌のサケの腹を刃物で割き、盗み取っていく荒っぽい手口。背景にあるのは、北海道で続いている秋サケ定置網漁の不漁だ。

 札幌市中央卸売市場によると、10月のイクラの取扱量は前年同期の半分ほど。1キロ当たりの平均価格は1万円台の日もあり、前年同期の2倍ほどに跳ね上がっているという。

 昨年も不漁でイクラの価格は高騰し、窃盗事件が続いたが、今年はそれ以上の高価格。毎年12月に、大好物のイクラを手作りして送ってくれる北海道室蘭市の知人に連絡すると「昨年は何とかしたけど、今年はイクラを作る時に使う筋子が高過ぎ。自宅でのイクラ作りをやめようか迷っている」とこぼしていた。

 飲食店もメニューや価格の維持に苦労している。千葉県船橋市の寿司店の店主は「イクラは、これからの目玉商品。価格を大きく上げるわけにいかないし…」と不安を漏らす。イクラ丼などを提供している居酒屋チェーンの関係者も「北海道産だけでは量も価格も維持していけない。アラスカ産も使うことになりそうだ」と話した。

 お正月の我が家のちょっとした“贅沢”のイクラ。知人から送ってもらったものと、暮れに築地の場外市場で購入したものが食卓に並ぶのが恒例になっている。窃盗事件がなくなることとともに、豊漁とまではいかなくても、ある程度のサケの漁獲量になることを願うばかりだ。

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2017年10月27日のニュース