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やっぱりすごい!作詞家松本隆とクミコの歌唱力

歌手のクミコ
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 【川田一美津の「何を今さら」】先日、東京・恵比寿で行われたクミコのデビュー35周年記念コンサートに出かけた。会場は満員。そこで披露されたのが、新しいアルバム「デラシネ」。「赤いスイートピー」「木綿のハンカチーフ」など数々の名曲を世に出したヒットメーカー松本隆さんが、大人の歌姫に書き下ろした話題作だ。「不協和音」「消しゴム」「さみしいときは恋歌を歌って」など全10曲、まさに松本ワールド全開。よりすぐりの言葉がまるでひとつひとつ命を吹き込まれたようにみずみずしい。同時に心の奥まで染みこんで来るような、どこか懐かしい気持ちにさせる歌ばかりだ。

 どの曲もいい。つんく?、秦基博、村松崇継さんらの感性豊かなアーティストが参加。胸が締め付けられるバラードから切ないラブソングまで幅広い。なかでも、心地よいのは「フローズン・ダイキリ」。酒好きで自由に生きたいと願う女性の姿を描いた詞に、クレイジーケンバンドの横山剣さんがオシャレで軽快なメロディーを付けた。私自身の個人的な思い入れも重なって、不思議と明るかった80年代の海辺のカフェに連れて行かれた気分になった。

 だから、歌は面白い。タイトルの「デラシネ」は、フランス語で「根無し草」。それが転じて「故郷を喪失した人」の意味もあるそう。そこには、松本さんならではのこんな思いが込められている。「僕自身、あんまりジャンルにこだわりを持っておらず、いろんな作品を書いてきた。はっぴいえんどの頃からそうだったけど、ジャンルという塀みたいなものを、ひょいと飛び越えてしまう人間なんだと思う。クミコという歌手も、出発はシャンソンだけれど、ジャンルの枠を飛び越えてしまう自由な人だと感じていて、僕とよく似ている」。

 音楽もデジタル全盛と言われ久しいが、昨今、アナログ回帰の若い世代が急増している。カラオケ店では平成生まれの十代が、彼らの親の青春時代にはやった山口百恵さんやキャンディーズの歌を楽しんでいる。そして、CDよりどこか温かみの残るレコードに戻る人も多いとか。11月3日は「レコードの日」、それに合わせて「デラシネ」のアナログ盤もリリースされる。「このアルバムならレコードの方がいいかも」と思わず手に取るようなタイムリーな企画だ。きっと若者にも新鮮な音楽として受け入れられそうだ。

 クミコのコンサートの後半は、「愛の賛歌」「百万本のバラ」などスタンダードな歌のオンパレード。客席は大いに盛り上がった。終演後、ご一緒した横浜夢座を主宰する女優の五大路子さんと楽屋を訪問。上機嫌の松本隆さんの乾杯のあいさつで、スタッフのみなさんとおいしいビールを一杯いただいた。帰り道、五大さんは「まるで一曲一曲がお芝居のようでしたね」と笑顔。私は久々に「時代を超えるもの」に触れたような気がして心の底からうれしさがこみ上げ来た。(専門委員)

 ◆川田 一美津(かわだ・かずみつ)立大卒、日大大学院修士課程修了。1986年入社。歌舞伎俳優中村勘三郎さんの「十八代勘三郎」(小学館刊)の企画構成を手がけた。「平成の水戸黄門」こと元衆院副議長、通産大臣の渡部恒三氏の「耳障りなことを言う勇気」(青志社刊)をプロデュース。現在は、本紙社会面の「美輪の色メガネ」(毎月第1日曜日)を担当。美輪明宏の取材はすでに10年以上続いている。

[ 2017年10月16日 10:00 ]

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