役所広司「陸王」で15年ぶり連ドラ主演を引き受けたワケ テレビの魅力は「瞬発力」

[ 2017年10月15日 13:35 ]

初回放送へ向け、気合の入る(左から)山崎賢人、役所広司、竹内涼真
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 俳優役所広司(61)主演のTBS日曜劇場「陸王」(日曜後9・00)が15日、初回を迎える。

 「半沢直樹」、「下町ロケット」などで知られる人気作家・池井戸潤氏の小説が原作。業績低迷の老舗足袋製造業者「こはぜ屋」がランニングシューズの開発に挑戦し、奮闘する姿を描く物語。役所は「こはぜ屋」の四代目社長・宮沢紘一役で出演。連続ドラマの主人公を演じるのは15年ぶりだ。

 日本を代表する俳優だけにこれまで、さまざまな連続ドラマの主演依頼があったはずだが、実現していなかった。今回の「陸王」を快諾したのはなぜなのか。

 役所は「あっという間に原作を読みました。この原作を、池井戸さんの作品をずっと撮られているチームが手掛けるということで、ドラマになったら僕も見たいというワクワク感があった。映画(の撮影)はほとんどが1、2カ月なので、(役作りも含めて)半年ぐらいかけて一つの役と付き合ってみたいなと久しぶりに思いました」と、原作の面白さと制作陣への期待を挙げた。

 出演を依頼した伊與田英徳プロデューサーは「経営危機になりながら、さまざまな人が手を差し伸べたくなる人間的魅力もある役柄をぜひ、役所さんに演じていただきたいと思いました。ただ、映画を中心に活躍されているのでダメもとだったのですが、すぐにOKのお返事をもらい、感激しました。日本を代表される俳優さんなので、演技の奥行きが違います」と念願のキャスティングがかない、作品への手応えを得ている。

 9月にクランクイン。役所は連続ドラマに挑戦したことをあらためてどう思っているのだろう。役所は「よかったと思っています」と笑顔。「役者をやっていてこういう厳しいこともやんなきゃいけないんだと思っているんです」と付け加えた。

 映画の場合、撮影開始時には、すでに出演者の手元に完成版が届いているが、連続ドラマでは、1話以降の台本は撮影中に徐々に出来上がっていくことが多い。役所は映画の現場との違いに戸惑いはあったようだが、それを前向きに考えている。

 「陸王は比較的セリフが多いので、消化して本番に間に合うのかが時間的に大変。ぎりぎりまで台詞のことを考えるぐらいの状況です。それでも、練りに練ってやるのではなく、今、体に入ったものを出すという瞬発力の面白さがテレビにはあると思う」

 映画とは異なる魅力を、役所ならではの視点で捉えている。

 いよいよ初回放送。「先が期待できない会社と傷ついたマラソンランナーが出合って、夢に向かって、たたかれながら、踏みつぶされながら頑張っていくところが面白いのではないでしょうか。伝統の技術を捨てるのではなく、利用して新しいものを作っていくというのが、このドラマ全体のメッセージになるんじゃないかと思います」

 静かな口調の中に作品への熱い思いがにじんでいた。

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2017年10月15日のニュース