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ますます面白くなってきた!小朝の菊池寛創作シリーズ

春風亭小朝
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】9月27日夜、東京・新宿の紀伊國屋ホールで開かれた春風亭小朝(62)の独演会「菊池寛が落語になる日」に足を運んだ。菊池寛の小説を落語に仕立てて披露する意欲的なシリーズ。今回は「好色成道」と「竜」の2席と、古典の「皿屋敷」を高座にかけ、毎度ながら魅了された。

 「好色成道」は道に迷った比叡山の若い学僧が主人公。かみ砕いて説明すれば、一宿の世話になった家の女主人に「法華経を暗唱できれば、やらせてあげる」「法華経の奥義を研究すれば、今度こそ本当に…」など次々にそそのかされてソノ気になり、いつしか立派な僧に成長していく物語。

 もう1つの「竜」は文政年間の江戸が舞台。架空の生き物「竜」を見世物にして儲けた武士と金魚屋が、ブームが去った後にひねりだした次の手は…でサゲる話だ。今回は「新今昔物語」に収録された13編の中から2編が題材になっていた。

 相変わらず見事なものだ。同シリーズは昨年4月25日にスタートして今回が第5弾。毎回2席ずつを披露してきたが、既に古典の風格を漂わせる作品も見える。

 10席に到達したのを機に、過去4回をおさらいしてみると―。

 ▼第1回 16年4月25日

 (1)「入れ札」(2)「奉行と人相学」

 ▼第2回 同8月23日

 (3)「ねずみ小僧」(「鼠小僧外伝」より)(4)「妻の手紙」(「妻は皆知れり)

 ▼第3回 同12月26日

 (5)「野布袋の竿」(「敵討母子連れ」より)(6)「うばすて山」(「姥捨山」より)

 ▼第4回 17年4月18日

 (7)「お見舞い」(「病人と健康者」より)(8)「時の氏神」

 落語会はもちろん、テレビの仕事など大忙しの売れっ子にとって菊池寛全集の中から落語になりそうな小説を発掘し、それを1席の噺に仕立て上げるのは大変な作業に違いない。ところが、そんな苦労を微じんも感じさせないどころか、逆に楽しくてたまらなそうな小朝の様子がうれしい。

 8月に古本市で見つけた筈見恒夫著「映画五十年史」をめくっていると、1923年(大12)の関東大震災後の映画界の動きの中で「新聞連載小説の映画化」に焦点を当てた項に出くわした。

 そこに菊池寛の「第二の接吻」「陸の人魚」そして「受難華」が登場する。朝日新聞に連載された「第二の接吻」は伊藤大輔監督「京子と倭文子」(聯合映画芸術家協会)、清水宏監督「第二の〇〇」(松竹)、阿部豊監督「第二のX」(日活)と、タイトルを変えて3作の競作となった。阿部豊監督が梅村蓉子、谷幹一、砂田駒子を起用して撮った「陸の人魚」(日活)は26年(大15)のキネマ旬報ベストテンで3位に入っている。

 第30回東京国際映画祭の人気企画「歌舞伎座スペシャルナイト」(10月26日)で上映されるのは54年の第7回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した衣笠貞之助監督の「地獄門」だが、これも菊池寛の「袈裟の良人」が原作だ。ほかにも「真珠夫人 前・後編」(山本嘉次郎監督、50年)や「藤十郎の恋」(森一生監督、55年)など、映像化された作品は多い。それを再認識させられる。

 さて、小朝の独演会第6弾は来年の2月。どんな作品が料理され、高座に盛り付けられるか、今から楽しみだ。(編集委員)



 ◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。

[ 2017年10月3日 09:47 ]

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