「ひよっこ」最終回 ロス広がる 感謝と惜しむ声続々「半年間ありがとう」

[ 2017年9月30日 08:15 ]

連続テレビ小説「ひよっこ」最終回の1場面。すずふり亭を訪れた谷田部家の面々(C)NHK
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 女優の有村架純(24)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「ひよっこ」(月〜土曜前8・00)は9月30日、最終回(第156話)を迎えた。朝ドラ脚本3作目となる名手・岡田惠和氏(58)が悪人が登場しない心温まる世界を紡ぎ出し、派手さはなくとも、丹念な日常描写と、それぞれにスピンオフ熱望の声が相次ぐ多彩なキャラクターで視聴者を魅了。有村をはじめとしたキャストも熱演で応えた。インターネット上には放送終了を惜しむ声、感謝の声があふれ返り「ひよっこロス」が広がった。

 最終回は、実(沢村一樹)がお土産にもらったカツサンドを食べ「いつかみんなで行きたい」と話した稲刈りの時から、かれこれ4年。みね子(有村)たちは、ついに家族揃って念願だった赤坂・すずふり亭を訪れる。鈴子(宮本信子)や省吾(佐々木蔵之介)らが温かく迎え入れ、かつて実が感動したハヤシライスを、心を込めて振る舞った。奥茨城の家族と東京の家族――。みんなの笑顔に囲まれたみね子は、幸せな気持ちでいっぱいになる…という展開だった。

 東京五輪が開催された1964年から始まり、出稼ぎ先の東京で行方不明になった父・実(沢村)を捜すため、集団就職で上京した“金の卵”谷田部みね子(有村)が、さまざまな出会いを通して自らの殻を破って成長し、幸せな家族を取り戻す姿を描いた。

 近年多かった朝ドラ王道パターンの「ある職業を目指すヒロイン」「偉業を成し遂げる女性の一代記」とは異なり、実在の人物をモデルにしないオリジナル作品。大きな出来事はなくとも、ヒロインが普通の女の子でも、心に染み入る世界観は視聴者に静かな感動を呼んだ。

 みね子はもちろん、どの脇役も愛される細部に行き届いたキャラクター造形も見事だった。赤坂・あかね坂商店街にある和菓子屋「柏木堂」の店主・一郎(三宅裕司)の1人息子・ヤスハル(古舘佑太郎)がインターネット上で絶大な人気を誇ったのが最たる例。

 最終回終了直後から、SNS上には「はぁ。終わっちゃったなぁ。嫌な人が出てこないから多幸感しかなかった。半年間ありがとうございました。スピンオフないかなぁ」「終わってしまった。毎朝の癒やしが…。ありがとう『ひよっこ』。最高の半年でした。がんばっぺ」「悲しみの裏には喜びが、喜びの裏には悲しみがあることを教えてもらったドラマでした。半年間ありがとう!」などと感謝と惜しむ声が続々。

 「ほっこり、じんわり、素敵な最終回だった。じわ〜っと幸せな気持ちになった。朝ドラ特有の成功記ではないけど、こんな普通の人生を描くのも斬新でいいんじゃないかな。岡田惠和さんだから描ける世界観。楽しかった」 「深い作品でした。立身出世も、権利のための闘争も、そんなものは何もない日々の市井の暮らし。そのささやかな喜びと悲しみをささやかなままに描き、ハッピーエンドを貫きました。ドラマを変えたドラマです」などと岡田氏の作劇を称える声も相次いだ。

 視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は序盤こそ苦戦したものの、尻上がりに上昇。最終回を目前にした第154話(28日放送)で、24・4%と自己最高を更新した。

 約1年間に及んだ撮影は9月4日にクランクアップ。有村は「『ひよっこ』の世界で生きられたことは私の宝物。誇りに思います」と大粒の涙を流した。

 8月下旬に行われた合同インタビューで、4回目の朝ドラ脚本について聞かれると、岡田氏は「つらい部分もありますが、朝ドラは楽しいです。もし、お話が頂けたら、やりたいです」と前向き。「ただ、自分で決められることじゃないので」と苦笑いしつつも「構想?さすがにないですが、『ひよっこ』は4年しか経たなかったのが若干、自分の心残り。4回目というよりは、続きがやりたいなというふうには思います」と続編に意欲を示した。

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