フジ「みなさんのおかげ」30年 名物P・石田弘氏が語るとんねるずの魅力

[ 2017年9月25日 10:00 ]

とんねるずやスタッフからの信頼が厚い「ダーイシ」こと石田弘エグゼクティブプロデューサー
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 フジテレビの人気バラエティー番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」(木曜後9・00)の30周年記念スペシャルが28日に放送される。タモリ(72)、ビートたけし(70)ら大物ゲストを迎えて豪華特番を展開する。石橋貴明(55)と木梨憲武(55)がメーン司会を務める番組は「とんねるずのみなさんのおかげです」としてスタートして以来30年。「仮面ノリダー」「保毛尾田保毛男」「太陽にほえるな!」などのコントや「食わず嫌い王決定戦」「モジモジくん」「男気ジャンケン」など名物コーナーを生み出し、視聴者を魅了してきた。番組の“生みの親”で同局の名物プロデューサー、石田弘エグゼクティブプロデューサーに30年を振り返ってもらった。

◆石橋貴明が大声で直訴「私たちにやらせてください!」◆

――放送開始から30年。率直な気持ちを教えてください。

「30年もよくやっていますよね!『みなさんのおかげです』をやっている途中、(石橋)貴明が“これまでと違う番組をやってみたい”と言って『ラスタとんねるず’94』(94年4〜9月)をやってみたり、(会社のあった)河田町からお台場に引っ越すときに『とんねるずの本汁でしょう!!』(97年4〜6月)を始めたり、いろいろあって今の『…おかげでした』になりました(笑)。途中に短いスパンの番組が入りつつの『みなさん』シリーズ30年ですね」

――30年はあっという間でしたか?長かったですか?

「長かったですねえ。私は明日(取材日翌日)で74歳になりますが、そのうちの30年間やっていますからね。私が39歳のときに『オールナイトフジ』(83年)を始めて、1年後にとんねるずが加入し、41歳のときに始めた『夕やけニャンニャン』(85年)でもレギュラーをやっていました。その後、当時ディレクターだった港浩一(共同テレビジョン代表取締役社長)に“貴明が日枝局長に直訴したいって言っているんです。話を通してくれませんか”と言われて“いいよ”と応じました。そうしたら、貴明が河田町の大部屋で“とんねるずの石橋貴明と申します!火曜ワイドスペシャルを私たちにやらせてください!!”と大声でアピール。上層部のオッケーをもらって、火曜ワイドスペシャル枠で4回くらいやったのかな。そうしたら視聴率を20パーセント取るようになって。それならばレギュラーでやろうという話になり、木曜9時で番組を持つことになったのです」

◆カメラひっくり返して…何をしでかすか分からない面白さ◆ 

――とんねるずの第一印象を教えてください。

「初対面だったか覚えていませんが、『オールナイトフジ』のときとか、2人は尖っていて何をしでかすか分からない面白さがありました。『…フジ』で一番面白かったのは、貴明が『一気!』を歌いながら、調子に乗ってカメラをひっくり返しちゃったこと。たしか保険で直したと思いますが、大問題になりましたね。興奮しすぎて、何をやったか分からなくなったみたいです。そういう面白さがありました。意外性が魅力ですね。あとは見た目が2人とも格好よかった。今はお笑いでも様々なタイプの人がいますが、当時はあんなにシュッとしているお笑いコンビはいなかった。“今っぽい”感じを持っていました。ドラマに出たり、歌出したり、コンサートしたりするお笑いコンビはいませんでした。何でもやっちゃう2人でしたね」

――とんねるずの魅力にはオリジナリティーがありますね。

「僕は2人のことをよくユーミンに例えていました。彼女が生み出す歌詞と曲の世界は、今っぽさがあり、そういう部分が若い子にウケていた。若い世代のファッションのようなもの。とんねるずも“トレンド”だったと思う。当時のオトナが見たら、何が面白いんだ?と思うけど、若い世代には女優の宮沢りえらが出演した『学園コント』が大ウケでした。帝京高校の先生の真似なのか分かりませんが、2人が教師や生徒役をやると“こういう先生いるいる!”ってウケていたのです」

――大物芸能人にも物おじしない姿も魅力的ですね。

「ゲストが誰であっても、とにかく何かしてやろうと考えていますね。『食わず嫌い』でタモリさんが来た時も、イグアナの物まねをリクエストしてやってもらっちゃう。タモリさんが嫌がっていてもやらせてしまう、そういう才能は凄いと思う。ですからプロデューサーやカメラマンはいつも大変です。どこで何をしでかすか分かりませんので(笑)」

◆誕生日会でドッキリの餌食に…ケーキ爆発「ひどかったなあ(笑)」◆

――現在の2人の印象はいかがですか?

「僕と18歳離れていて、今年で56歳になるのかな。もう中年ですけど、いまも格好いい。見た目だけじゃなく、生き方がですね。2人とも知識が豊富。貴明のスポーツに関する知識は半端じゃない。料理に対する知識もプロ級です。(木梨)憲武はアーティスト。2人とも中年になっても歩みを止めていない。いい歳の取り方をしていると思います」

――大変だった企画や、思い出深いエピソードを教えてください。

「05年だったかな。僕の62歳の誕生日に『とんねるずの石田さんのおかげでした』という特番をやったのですが、本番までずっと騙され続けました。壮大なドッキリで…。ニューヨークのタイムズスクエアまでロケにも行ったのですよ。帰国後、鉄板焼き店で誕生日祝いをやってもらった。本来ならば収録日だったのですが“きょうは撮影ないですから”と言われ、たくさん酒を飲んでしまいました。そうしたら突然目の前にモニターが出てきて、とんねるずが“石田さん何やってるんですか!皆待っていますよ!”って…。画面の向こうには100人くらいいるんです。そのまま台車に乗せられてスタジオに連れていかれました。“誕生日おめでとう!”と祝福されたので、ケーキの前でろうそくの火を消そうとしたらケーキが爆発…。顔はクリームだらけになり、服もグチャグチャになって。頭にきたので思わず『だからお笑いは嫌いなんだ!』って叫んじゃいました(笑)。あれが一番ひどかったなあ(笑)」

――ドッキリ含めて、先が読めない企画が番組の魅力ですね。最後に番組ファンにメッセージを御願いします。

「厳しい時代で、いろんな波があったりしますが、やっぱりテレビって面白いものです。とんねるずの2人はファンのことを決して裏切りませんから。これからも番組を見てくださいね」

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