「甲子園のアイドル」愛甲猛氏、波乱人生支えた妻に初めての手紙「よく我慢してくれた」

プロ６年目のオフに結婚した愛甲猛氏と佐知子さん（８７年撮影）
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　１９８０年に横浜高校の夏初優勝を導き「甲子園のアイドル」として絶大な人気を博した愛甲猛氏（５４）が１７日放送のＴＢＳ「壮絶人生ドキュメント　プロ野球選手の妻たち」（月曜後７・００）に出演。波乱万丈続きのプロ生活、数々のスキャンダルに見舞われた引退生活を陰ながら支えた妻・佐和子さんに初めての手紙を送った。

　高校３年時、夏の甲子園大会で投打にわたる活躍を見せ、そのやんちゃっぽいルックスも相まってアイドル的な人気を誇った愛甲氏は、鳴り物入りでロッテに入団。プロ３年目に佐和子さんと出会い、年俸１０００万円を手にしたプロ６年目のオフに結婚した。

　しかし、その結婚生活は佐和子さんの想像をはるかに超える苦難の連続。愛甲氏は順調にキャリアを積んでいたが、３０歳を越え、成績が下降。この状況を打開しようと手を出したのが「筋肉増強剤」だった。今でこそ球界では禁止薬物に指定されている薬だが、当時は禁止規定などは存在せず、中日への移籍後も使用を継続した。

　３８歳での現役引退から１カ月後、胸に突然の傷みが走った。診断は「閉塞性動脈硬化症」。６年間服用し続けた筋肉増強剤が原因だった。２カ月の入院で、九死に一生を得た愛甲氏は、筋肉増強剤の危険性を伝えたいと取材を受けたところ、掲載されたのは「球界のクスリ漬け」という記事。愛甲氏は野球界から距離を置かれるようになってしまった。

　野球関係はおろか、何の仕事のオファーも来なくなり、時間を持て余す日々。定職のない夫に代わり、佐知子さんが週５日のパートで家計を支えた。そんな中、愛甲氏は再起をかけ、野球コラムの仕事をスタート。すると徐々に野球関連の仕事のオファーが舞いこむようになり、現在はバッティングセンターの片隅を借りて野球教室を行う。「甲子園で活躍してくれることを願って、自分がそれを解説するのが一番の夢ですね」。ようやく見つけた第二の人生だった。

　波乱続きだった結婚生活も、今年で３０周年。結婚記念日には長男・大樹さん、長女・麗華さんがお祝いに駆け付けた。愛甲氏は３０年の感謝をしたためた初めての手紙を贈る。

　「知り合って３５年。結婚して３０年。紆余曲折な年月過ぎて長かったのか短かったのか…たいした力もない俺が苦しいプロ野球生活を２０年全うできたのは、他でもないお前の支えがあったからです。いろいろあったにも関わらず、一言も文句を言わず本当によく我慢してくれたと思います。いまさら言うのもおかしいけど、家族の支えがなかったら俺のプロ生活２０年はありえませんでした。本当にありがとう。感謝してます。今後もよろしくです」

　手紙を読み上げると佐和子さんは涙。「こういうのは初めてなので…。こちらこそよろしくお願いします。これからも身体に気をつけて、いいお仕事をたくさんして自分らしく頑張ってください。いままで頑張ってきてよかったなと自分でも思うし、いまはとっても幸せです」と笑った。