“藤井四段を止めた男”佐々木五段 世代の力証明、竜王戦8強

[ 2017年7月9日 05:30 ]

竜王戦決勝トーナメント3回戦で阿久津八段(左)に勝利した佐々木五段
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 将棋の佐々木勇気五段(22)が8日、東京都渋谷区の将棋会館で指された竜王戦決勝トーナメント3回戦で阿久津主税八段(35)に111手で勝利を収めた。次の準々決勝で久保利明王将(41)に挑む。

 2日の同棋戦で藤井聡太四段(14)の公式戦連勝を29で止めて時の人となった佐々木が、連勝で実力を証明した。先手番で中盤まで優勢に進めながら決めきれず、最後はギリギリの勝利。「途中までうまく指せたが、終盤やはり弱さが出た」と笑顔はなかった。それでも格上の棋士を下し、勝利数規定による六段昇段にあと1勝とした。

 将棋界は長らく羽生善治3冠(46)を中心とする「羽生世代」が君臨してきた。近年は佐藤天彦名人(29)ら87、88年生まれの棋士が台頭。そこに佐々木ら20代前半の若手棋士が割って入ろうとしている。現在進行中のタイトル戦のうち棋聖戦で斎藤慎太郎七段(24)、王位戦で菅井竜也七段(25)が、いずれも現保持者の羽生に挑戦中だ。佐々木は「私たちの世代からタイトルを獲る人が出てくる。羽生世代に挑む構図を、藤井さんに抜かされたくはなかった」と語る。

 佐々木と同じ94年度生まれ世代は、スポーツ界でも抜群の存在感を放つ。野球の日本ハム・大谷翔平(23)、フィギュアスケートの羽生結弦(22)らが「ワンダフル世代」と呼ばれ、各界を席巻している。

 次戦の久保は振り飛車のスペシャリストで、過去の対戦は0勝1敗。「先手と後手で違うが、久保先生の指される形を研究して臨みたい」と意気込んだ。将棋界で平成生まれのタイトル獲得者は出ていない。世代のプライドを背負い、タイトル初挑戦へ突き進む。

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2017年7月9日のニュース