神田沙也加 30歳の今だから演じられる12歳ウェンディ

[ 2017年7月9日 09:30 ]

帽子をかぶり笑顔の神田沙也加「衣装協力=Ank Rouge(アンクルージュ)」
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 5月に俳優の村田充(みつ、39)と結婚した女優の神田沙也加(30)が、12歳の少女役に挑戦する。6年ぶりに復帰するミュージカル「ピーターパン」(スポーツニッポン新聞社など主催)のヒロイン、ウェンディを演じる。自立した大人の目線で「子供」になりきる。

 2011年以来、4度目のウェンディ役。当時は20代前半で、夢見がちだがしっかりした少女は、はまり役となった。6年たち、「お話を頂いたときは驚いた」とはにかむ。

 物語の根幹には「子供と大人の境目」というテーマがある。今回、「どういうことを期待して、30歳になった私を少女役に起用していただいたのか」を考える上で、物語に改めて向き合った。すると「昔はピーターパンやウェンディに感情移入していたのが、今は海賊やインディアンが近く感じたり。物語のシニカルな部分が分かるようになった」。

 台本にはびっしり、大人目線で気づいたことを書き込んでいる。「台本が変わり、81年に日本で初めて上演されたころのオリジナルの舞台に近くなった。言葉の選び方も今の演劇と感じが違う。なぜこういうセリフなのかなど、舞台を始めたころのようなことをやってます」。

 何度も演じた役。加えてここ数年は多数の舞台も踏んだ。でも経験値だけでやり過ごすことはしない。「勉強欲が湧く作品。これまでの経験が小学校としたら、中学に進級した感じ」。大人になって初めて分かる“子供らしさ”の輝き。経験を積み技量は熟練しつつ、気持ちは夢見る少女のように新鮮だ。

 ピーターパンは「7歳くらいのとき、人生で初めて見たミュージカル」。大きな影響を受けた作品だ。ただ、大人になりたくないピーターパンとは違い、「昔から、早く大人になりたいと思っていた」と話す。趣味の読書を通じ、さまざまな物語の大人びた少女たちに影響を受けた。「小学校低学年くらいから、冷静でいるということは常に意識していた気がします」という。

 一方で、父の俳優神田正輝(66)、母の歌手松田聖子(55)の長女。両親ともに長年一線級で活躍していることもあり、ある意味では「永遠の子供」だ。まるでピーターパン。それでも、芸能界で長く多彩な活躍を重ねていることで、両親とはまた違った芸の世界を確立。今は「神田沙也加」そのものとしての評価がすっかり定着した。

 結婚という節目も迎えた。「いろんな手続きがいるんですね。大人になったと思いました」と笑う。新婚生活は「言いたいことはぶつけている。全然しっかりした奥さんではないですが、家事は得意ですよ」と胸を張る。「これからは、私が言ったりすることは今までの家族だけでなく、彼も通して見られることになる。その思いはいい方に働いているかもしれませんね」。

 もはや背伸びせずとも、誰もが認める大人の女優として独り立ちした。「子供のときに、ずっと子供でいたいと考えられるのは凄いことだと思う。自分はそこにずっと気づかなかった」。人間の器も大きくなった。

 「今の年齢で、この作品に携わる意義はあったと思う。子供の心と大人の心を行き来できるような、みんなの理想のウェンディになりたい」。若さの代わりに多くを得た今だからこそ、それができると確信している。

 ≪吉柳咲良を絶賛≫今年からピーターパンを演じる女優の吉柳(きりゅう)咲良(13)については「中性的な魅力があって、ピーターパンをやるためにいるような子」と絶賛。稽古では打ち合わせや雑談を交わすという。吉柳にとって初舞台となるが、「私も初舞台(04年「INTO THE WOODS」)が自分を決めたといっても過言ではない。人の初舞台に関わるという重要さをかみしめて役を務めたい」と話した。

 ◆神田 沙也加(かんだ・さやか)1986年(昭61)10月1日、東京都生まれの30歳。01年に芸能界入り。翌年、シングル「ever since」で歌手デビュー。14年にディズニー映画「アナと雪の女王」の日本語版でアナの声を担当し注目を集めた。ミュージカルでも活躍。ウェンディ役は09年に初演し、11年まで3年連続で務めた。

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