民進党という薄い受け皿が割れる危機と加計問題閉会中審査

[ 2017年7月8日 11:00 ]

街頭演説を行う蓮舫・民進党代表
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 【小池聡の今日も手探り】10日に衆参両院で閉会中審査が行われる。テーマはもちろん、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設を巡る問題だ。内閣・文部科学両委員会の連合審査として実施。安倍官邸の主導、周辺の忖度(そんたく)、「総理のご意向」はあったのかなかったのか。官邸が関与したと主張している前川喜平前文部科学事務次官が参考人として招致される。

 肝心要の首相は欠席だ。ドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合出席などのため欧州歴訪中で、帰国は12日。野党は首相を呼んでの予算委員会集中審議の開催を求めているが、与党は消極的。野党は「安倍隠し」と反発を強めている。

 自民党の竹下亘国対委員長は「10日の状況を見た上で総合的に判断したい」とし、公明党の山口那津男代表は「(審査の)結果を見た上で考えることだ」と述べている。であるならば、野党としては10日の審査で、与党が首相出席の予算委開催を飲まざるを得ない「状況」をつくり、「結果」を出すしかない。最大の焦点の1つだ。

 そもそも、首相不在でどこまで真相に迫れるか期待薄ともささやかれているだけに、政府関係者も「総理の口癖ではないが、“印象操作”ばかりではなく、総理を引っ張り出すことにつながる追及を野党ができるかどうかが関心事」と話す。その一方、「野党、とくに民進党にとっての見せ場となるかどうか」と付け加えた。

 民進党は質問者として蓮舫代表を投入予定。ところが、党内からは「首相が出てこない場に、どうして我が党は総大将を出すのか?」と疑問視する声が出ている。同党関係者は獲得議席が5つにとどまった都議選を踏まえ、「“なぜ辞任しないのか”という批判をかわすための代表の登板だ。見せ場というのは、執行部にとっての見せ場だ」と指摘した。くすぶる“蓮舫降ろし”…相も変わらず、党内政局が目に付いてしまう。

 「都民ファーストの会」大躍進、自民党大惨敗となった都議選で、注目されたワードが「受け皿」。共産党が議席を17から19に伸ばした一方、国政第2党、野党第1党である民進党は埋没選挙を打開できずに7から5に減らした。多くの自民批判票は都民ファへと流れ、民進党が受け皿として期待されていないことが露呈された。各社世論調査の政党別支持率を見ても、浮揚の兆しはとても感じられない。

 与党が応じてこなかった見せ場を設定させたのは民意だ。都議選を受けて与党が方針転換。野党の力量によるものではない。

 そうした舞台で期待に応えられなければ、“民進”から“民心”はますます離れ、受け皿政党としての立場はいよいよ危うくなる。「その前に、お家騒動の末に皿は割れる」――そんな声も聞こえてきそうだが…。何はともあれ、10日は注目だ。 (編集委員)

 ◆小池 聡(こいけ・さとる)1965年、東京都生まれ。89年、スポニチ入社。文化社会部所属。趣味は釣り。10数年前にデスク業務に就いた際、日帰り釣行が厳しくなった渓流でのフライフィッシングから海のルアー釣りに転向。基本は岸から気ままにターゲットを狙う「陸(おか)っぱり」。

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