真田麻垂美、16年ぶり映画復帰 ヨガが教えてくれた女優としての「軸」

[ 2017年6月17日 10:50 ]

映画「心に吹く風」で16年ぶりに女優復帰した真田麻垂美
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 女優の真田麻垂美(39)が、韓流ドラマ「冬のソナタ」を手掛けたユン・ソンホ監督の初の劇場映画監督作「心に吹く風」(17日公開)で、16年ぶりに女優復帰を果たした。役作りで10キロ体重を増量して臨んだ意欲作。40歳を迎える節目の年での再始動に「スポンジは水を与えれば潤いますが、自分を潤すものを与えるのは自分自身。何をやるのも遅いことはありません」と、みずみずしい表情で話す。

 96年、山崎まさよし主演の映画「月とキャベツ」のヒロイン・ヒバナ役や、NHK連続テレビ小説「ひまわり」に出演して注目を集めた真田。01年の映画「忘れられぬ人々」を最後に女優業を休業していたが、16年ぶりにスクリーンに戻ってきた。今作は北海道の富良野と美瑛を舞台にしたラブストーリー。真田は主人公(眞島秀和)の初恋の相手・春香を演じている。「初恋は、誰しもが持っている純度の高い感情だと思う。社会に出て年齢を重ねていろいろなものがそぎ落ちていく中でも消えないもの。北海道の大自然の景色とともに、そういうはかなさを感じ取っていただければ」と作品の魅力を語る。

 今回の復帰は「偶然」から始まった。ある食事会に参加した際、今作のプロデューサーも同席。そこでワークショップオーディションに誘われたことがきっかけだった。15年近くもエンターテインメントの世界から離れ、不安もあったが、夫の後押しもありワークショップに参加。現場ではユン監督の柔らかい雰囲気や、その細やかな心遣いもあり「自然と気持ちが入れたというか、純粋に芝居を楽しんでいる自分がいました」と振り返る。

 そしてつかんだ春香役。春香になりきるため、まずは日常のリズムを変えた。「春香は夫の都合で北海道に行き、自分に折り合いをつける中で、ひたすら毎日を大切に生きる。健康を保ち心も体も健やかでいることを軸にした女性なんじゃないかと」。撮影に入るまでの半年間、毎日1日3食しっかり作って食べ続けることを基準に、役作りをスタート。当たり前のことを当たり前に丁寧に過ごした日々。気づけば体重は10キロ増えていたという。

 監督がどのような撮影をするのか、スタッフとしっかりコミュニケーションが取れるのか。久々の現場で緊張することもあったが、演じることについての迷いはなかった。「もうすでに自分自身が春香だったので。セリフを言うときにも、私ではない何かが出てくるというか。不思議なほどに春香になっていました」

 「忘れられぬ人々」出演後は米国に滞在し、女優業を休業。現地では現在の夫と出会い、そしてその後インストラクターになるまでに没頭したヨガとの出合いもあった。その、ヨガについては「ポーズもありますが、根本的には、気持ちをいつもフラットに持っていくための練習の一つ。『自分とは何なのか、何のためにいるのか』というのを常に見つめ直すことでもあるんです」と説明。続けて「役者は役をもらった際、そこに自分を究極なところまで落とし込んでいきますが、どうやればその役に近づけるかを考えるその行為は、ヨガとリンクするんです」。春香になり切れたその裏には、ヨガという軸があったからでもあった。

 6年前には長女も授かり「母というぶれない軸」も備わった。今後はヨガも続けながら「16年間培ってきたものを、私というフィルターを通して、役に立つものがあれば演じさせていただきたいし、まだ表現していない部分も今なら出せる自信もあるので、間口を広げてやっていきたい」と意欲的に話す。「何をやるのも遅いことはありません。気持ちというのは、スポンジのように水を与えれば潤うもの。それを与えるのは自分自身。自分にワクワクしています」。8月で40歳を迎える真田。話す言葉に惑いはなかった。

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