仲代達矢　悪役に意欲も「ちょっと怖すぎる」と拒否した役とは

映画「海辺のリア」初日舞台挨拶を行った（左から）阿部寛、原田美枝子、仲代達矢、黒木華、小林政広監督
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　俳優の仲代達矢（８４）が３日、主演映画「海辺のリア」（監督小林政広）が封切られた東京・テアトル新宿で共演の阿部寛（５２）、黒木華（２７）、原田美枝子（５８）とともに初日舞台あいさつを行った。

　小林監督とは２０１０年「春との旅」、１２年「日本の悲劇」に続く３度目のコンビで、認知症を患った往年の大スターを演じた仲代。上映後、観客からの「ブラボー！」の歓声とスタンディングオベーションに迎えられ、「万雷の拍手、ありがとうございます。出演者でありながら、素敵な映画ができたと思っている。そう思ってくれるお客さんが１人でもいてくれたらうれしい」と謙虚に話した。

　台本で１０数ページに及ぶラストシーンの「リア王」のセリフ回しは圧巻で、阿部は「台本を開いた時に無理だと思った。これほど長いセリフをひとつも間違えることなくしゃべられた姿に感動した。僕も将来に明るい希望が見えた」と感嘆。仲代の娘役を演じた黒木も、「ほぼ仲代さんとご一緒のシーンで、ぜいたくな経験で幸せな時間を過ごすことができた」と最敬礼だ。

　舞台ではシェークスピア劇を演じている仲代だが、「リア王」は経験がなく、映画でも黒澤明監督の「乱」（１９８５年）に続く２度目。「すごく長いので、これで最後にしようかな。でも万が一、力があったらやろうと思っている」とさらなる意欲を見せた。

　その上で、小林監督に「次は、すごい悪役はどうかな？」と提案したことを告白。だが、小林監督は「撮影が終わって打ち上げで、“シャイニング”のジャック・ニコルソンみたいな役はどうですかと話したら、すごくイヤな顔をされた」という。仲代は、「あれはちょっと怖すぎるでしょ。でも、悪役、やりたいですね」と意気軒高だった。