「トップガン」続編決定、思い出した20年以上前の1面見出し

[ 2017年5月25日 09:30 ]

1994年10月14日のスポニチ東京版1面
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 あの「トップガン」の続編が製作されることになった。1986年に公開された米映画。全世界で大ヒットし、日本でも、ケニー・ロギンスが歌った主題歌「デンジャー・ゾーン」のヒットとともに社会現象になった。

 主演したトム・クルーズはこの作品で、文字通り“トップ俳優”となった。続編製作を明言したのも、そのトム。23日にオーストラリアで出演したトーク番組で、司会者から話をふられると「来年には撮影を始める。そう、実現するんだ。撮るんだよ。この話をするのは、あなた(司会者)が初めてだよ」と興奮気味に語った。

 「トップガン」は米海軍の戦闘機F―14、通称トム・キャットの訓練パイロットが互いにライバル心むき出しで、成長していく姿を、恋、友情、挫折、友人の死をからめて描いたもの。ドッグファイトのシーンはド迫力で、RPGゲームもユーチューブもなかった時代、観客はスクリーンに釘付けだった。

 筆者にとっても懐かしい映画の1本。トムが演じた「マーベリック」が、世界情勢がすっかり変わったいま、続編で再び戦闘機の操縦桿を握るのか(多分、握るが)興味深い。

 「トップガン」のニュースを目にし、ひとつ思い出したことがある。いまから20年以上前、1994年10月14日発行のスポニチの1面だ。プロ野球の巨人が、日本シリーズに向けて選手のトレーニングに、自衛隊の戦闘機パイロットが訓練に使う特殊装置を導入したという記事。長嶋茂雄監督が東京ドームのトレーナー室に2台持ち込むように指示し、原、川相、村田真らが体験。両こめかみに装着したワイヤから、低周波とバイブレーションが流れてくるという仕組み。動体視力が鍛えられたという。

 この記事に付いた見出しが「航空自衛隊に弟子入り? 長嶋 その名もトップガン作戦」だった。当時、紙面編集を担当していた先輩から「きみ、洋画が好きなんだって?トップガンのストーリー、教えてくれる?」と質問を受けた。新人だった筆者は緊張しながら答えた。同時に、公開から8年が経過していても「トップガン」が見出しになるのか……と疑問に思ったのをいまでも覚えている。

 あれから20年以上が経ったが、「トップガン」は多くの人の中に鮮明な記憶として残っている。いま見出しに使っても、十分通用する(多少の解説は必要かもしれないが)。号泣するような感動大作とは言えないかもしれないが、そういう意味では立派な名作だ。

 新聞の1面見出しに耐えられる映画のタイトルはそう多くない。誰が見ても、一瞬でその内容が分からなければ意味がないからだ。文字数の制限もある。最近では、誰でも分かるのは「ハリー・ポッター」、「アナと雪の女王」といったところだろうか。いずれも日本で社会現象化した。都合のいいことに「ハリポタ」「アナ雪」と、見出しに使いやすい愛称がある。洋画の配給・宣伝会社の担当者に聞くと「日本語のタイトルを付けるのは、相当気を使う作業」という。原題をカタカナにしただけでは、何の映画なのか分かりづらい。かと言って、直訳、意訳で漢字にすると、映画の世界観を壊しかねない。ちなみに「アナと雪の女王」の原題は「Frozen(フローズン)」。「凍った」という意味だが、日本語タイトルを「フローズン」としていたなら、何か冷たい飲み物と勘違いしてしまいそうだ。「“アナと雪の女王”は原題からかけ離れているが、とても上手な日本オリジナルタイトルだった」と前述の関係者。「“アナ雪”と言えば、誰でも分かりますしね」と続けた。

 日本でも夏休みに向けて、大作映画が続々と公開され始めた。この中で何本が、20年後も忘れられない“名作”として、タイトルが語り継がれるだろうか。

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