永瀬正敏涙が止まらない カンヌ総立ち拍手10分

[ 2017年5月25日 05:30 ]

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された「光」の公式上映後に、感涙しながら劇中で使用したカメラを河瀬直美監督の首にかける永瀬正敏
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 俳優の永瀬正敏(50)が主演した映画「光」(27日公開)が、フランスで開催中の第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で23日夜(日本時間24日早朝)に公式上映された。観客から10分にわたるスタンディングオベーションで称えられ、河瀬直美監督(47)や共演者と抱き合い号泣。作品の評価も高く、最高賞パルムドールを狙う。

 硬派な俳優もたまらず涙を見せるほどの熱気。エンドロールが始まると満員の約2300人が総立ちになり、拍手は約10分間鳴りやまなかった。永瀬は感極まってしばらく席にうずくまり、立ち上がると拳を突き上げ歓声に応えた。感涙する河瀬監督や共演の水崎綾女(28)、藤竜也(75)ら一人一人と抱き合い「エンドロールが終わって格好良く立ち上がろうと思っていたけどダメでした。あんなに温かい拍手は初めて」と感激に浸った。

 カメラマン役で、劇中で使用したカメラをスタッフから手渡されると、大事そうにのぞき込んだ後、監督の首にかけた。劇中でカメラを「心臓」と表現しており「心臓ですから。カンヌまで一緒に来てくれた」と笑顔。河瀬監督はカメラを掲げ、ひときわ大きな拍手を浴びて「2階席の後ろの人にも、その鼓動を届けたいと思いました」と話した。

 視力を失いゆくカメラマンと、視覚障がい者向けに映画の音声ガイドを作る女性の交流から希望を見いだす物語。河瀬監督は日本人監督最多となる8回目のカンヌ参加で、コンペ出品は5回目。97年に「萌の朱雀」でカメラドール(新人監督賞)、07年に「殯(もがり)の森」で最高賞パルムドールに次ぐグランプリ(審査員特別大賞)と10年ごとに受賞しており、今年はパルムドールへの期待が高まる。パルムドールを受賞すれば、日本作品では97年の「うなぎ」以来20年ぶりとなる。

 会場で配布される雑誌「スクリーン」は24日付で、「光」の評論を掲載。「マジックアワー(美しい映像が撮れる時間帯)の光が頻繁に使われ、光の拡散や透き通るような質感が映画を素晴らしいものにしている」などと高く評価している。

 配給関係者によると、25カ国での配給が決定しており、カンヌでさらにオファーが殺到。河瀬監督は「この映画は言葉にならないものを人々に届ける力を持っていると思います」と手応え十分。結果は28日夜(同29日未明)に発表される。

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