【夢中論】三田佳子 75歳で筋トレ、鍛えているのは女優力 撮影中の転倒で決意

[ 2017年5月16日 11:30 ]

夢中論 三田佳子(上)

元気いっぱいバランスボールに乗る三田佳子
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 東京・広尾のジムで週1度、汗みどろになりながら、体の衰えに逆らうべく筋トレに没頭する女性がいる。その人とは、NHK大河ドラマに2度主演した女優、三田佳子(75)。スエットの上から、さらに赤い短パンをはく不格好な服装で、「みっともないポーズ」を時には人目にさらしても、半年間心折れず、欠かさずに続けている。いつまでも、変幻自在で居続けるために。

 撮影用に用意した運動器具「バランスボール」を見るなり、「普段はもっと柔らかいのを使ってるのよ〜。乗れるかしら?」と自ら腰をかけた。両足を浮かすことはできないが、ぐらつかない。75歳とは思えない体幹の強さが垣間見えた。

 毎週、主に土曜、東京メトロ広尾駅すぐのジム「ルートヴィガー」に足を運ぶ。米大リーグ・ドジャースで野茂英雄氏や石井一久氏のトレーナーを務めた深沢英之さんの指導で、年齢に合ったメニューに取り組む。

 「柔らかいバランスボールに座って足を上げたり、足の間にボールを挟んで力を入れたり。ぐらぐら動く物の上に乗って屈伸もしたりします」

 説明するうちに血が騒いだのか「正しい形のスクワットもできるようになったの」と実演が始まった。背筋を垂直に保ったまま腰を落とし、立ち上がる際は膝を爪先より前に出さない。教科書どおりの見事な動きだ。

 トレーニング時間は強化したい部位を重点的に1回40〜50分。例えば今月9日は「腹筋」を課題に筋トレした。年齢的に、一般的な腹筋運動は腰を痛めるリスクが高いため「腹にグッと力を入れてから息を大きく吐き、次の動作に移る」という運動をした。「その日の帰りは、腹筋が痛くなっちゃって」と笑う、その表情は若々しい。

 元々「日頃何もしなくても何でもできた」と運動能力には自信があったという。なぜ筋トレを始めたのか。「撮影で転んだから。画面から消えたんです」と苦笑いした。

 昨年のNHKドラマ「忠臣蔵の恋」で、武家出身の尼を演じた。必然的に正座など、家柄相応の整った所作が求められた。立ち上がろうとしたら、膝の力が抜けた。「そのまま体がフッと後ろに倒れて、カメラの枠から消えちゃって」。今となっては笑い話だが、「役者はある程度五感が発達していないとできない」が持論。衰えに直面し「役者辞めなきゃダメかな、って一瞬よぎった」ことが、筋トレに目覚めたきっかけだった。

 ◆三田 佳子(みた・よしこ)1941年(昭16)10月8日、大阪府生まれの75歳。生後半年で東京に引っ越し、中学、高校時代からテレビ出演を重ね60年に第二東映に入社。当初から現代劇の看板女優と称される。67年にフリーに。84年の 映画「Wの悲劇」が高評価され、86年「いのち」94年「花の乱」とNHK大河ドラマ2作に主演。複数の大河主演は女性ではただ一人。

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