亀田興毅氏1000万企画が示したネットTV新時代 テーマは「生でガチ」

[ 2017年5月9日 09:30 ]

亀田興毅氏
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 「あれ?なぜ映らない?」。AbemaTV1周年企画として7日に開催された「亀田興毅に勝ったら1000万円!」の生放送で大トラブルが発生した。アクセスが殺到して、まさかのサーバーダウン。スマートフォンを何度ガチャガチャいじっても画面は真っ黒のまま。「これって有料放送やったかな?」などと思いながら、事故だと分かったのは真夜中になってから。結局、試合の模様は動画サイトでチェックした。AbemaTV開業史上初となる1420万の視聴数。これまではお笑いコンビ「極楽とんぼ」の24時間生放送で、350万が最高だったことを考えるとびっくりする数字である。

 3階級制覇のボクシング元世界王者・亀田興毅氏(30)と一般視聴者4人の戦い。3分3ラウンドの試合を4連続で行い、挑戦者がKOで勝てば1000万円というルール。歌舞伎町のホストクラブ支配人、youtuber、高校教師、元暴走族総長のうち3人を連続でKO。ヘッドギアを装着し、14オンスのグローブでも最後の最後まで圧倒した。

 「ボクシングに育てられてここまで来た。素晴らしいスポーツということを伝えたかったんです。試合前は対戦者もエキサイトしてましたけど、終わったら気持ちよく、お互いをたたえられることができた。そういう意味で大成功ですね」。一夜明けて電話口の亀田の声は弾んでいた。第一声は「辛い。全身筋肉痛ですわ」。なんだか、それも「痛い」という現実が嬉しそうだった。

 2試合目からは足もつっていたという。1年半もボクシングから離れ、試合が決まってから3週間の練習で迎えた本番。「練習してみてオファーを受けたことを後悔しました。試合も現役時代とはまったく違った。スピードもないし、足もついてこない。頭で考えるイメージに動きがついてこなかった」。ボクシングはやはり過酷だった。

 ライセンスの問題などもあり、日本では引退試合を行っていない。4年ぶりの日本のリングに「もう一度、立てたことは本当に良かった。今回がラスト。最初で最後の気持ち。最近はビッグマウスじゃないんですけどネットもKOでしたね、ハハハ」。エキシビションとはいえ、けじめのメモリアルバウトとなった。

 リアルとエンターテインメントの融合は大成功で、亀田の身を削る挑戦はAbemaTVにとっても試金石となった。最近は将棋の藤井聡太四段と羽生善治三冠との一戦や、早実の清宮幸太郎が出場した高校野球・春季東京都大会決勝の中継でも話題を呼んでいる。

 2年目定着に向け手数を増やすインターネットTV。“生でガチ”。このあたりがテーマになりそうだ。 (記者コラム)

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2017年5月9日のニュース