藤井四段が挑む、容易ならざる名人への道…最速なら22年に19歳で挑戦権

[ 2017年5月4日 08:30 ]

藤井聡太四段
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 将棋の史上最年少棋士、藤井聡太四段(14)が脚光を浴びている。まだ中学3年ながら、5月1日までの公式戦でデビューから無傷の15連勝。非公式戦では羽生善治3冠(46)を破った。1人の棋士にこれだけ注目が集まるのは、羽生3冠が96年にタイトル7冠を独占したとき以来だろう。

 棋士にとって、7つあるタイトルを1期でも獲得することは悲願にして至難の業だ。基本的には約160人いる棋士の大部分が、タイトル戦の予選から出場。最後まで勝ち続けるとその挑戦者になり、保持者との5番または7番勝負に勝てば、その期のタイトル保持者となれる。ただし、名人戦(主催・毎日新聞社、朝日新聞社)だけは例外だ。

 まず順位戦のC級2組を1年かけて戦い、上位者が翌年のC級1組へ昇格。以降もB級2組、B級1組と1年ずつ勝ち上がり、A級の最上位となって初めて名人への挑戦権を得る。最短でも、リーグ戦を5年間勝ち続けなければならない。

 このほど今年度の順位戦の組み合わせが発表され、C級2組の藤井四段は6月中旬の初戦で瀬川晶司五段(47)との対戦が決まった。瀬川五段はプロ養成機関の奨励会を26歳の年齢制限で退会。サラリーマンとして仕事をこなしつつアマチュア棋士として活躍し、編入試験を受けて35歳でプロ入りを果たした異色の棋士だ。14歳でプロになった藤井四段とは対照的だが、道なき道を進む点では同じとも言える。

 他にも藤井四段の前に奨励会三段リーグを1期抜けした三枚堂達也四段(23)ら、10人の棋士との対戦が待ち受けている。今期の同組は50人が在籍し、昇級はわずか3人と狭き門だ。藤井四段が全組を1期で突破できれば、2022年に19歳で名人への挑戦権を得る。

 藤井四段の前に中学2年でプロになった谷川浩司九段(55)は、1期足踏みしただけで、史上最年少の21歳で名人になった。一時の勢いだけでは取れない棋界最高峰のタイトルへ、若き天才が間もなくその第一歩を踏み出す。

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