視聴率だけではわからない 春ドラマ 脇役とゲスト俳優の存在感が人気のカギ

[ 2017年5月1日 18:57 ]

 4月スタートの春ドラマが出揃った。今期は脚本、ストーリーより役者の好演や存在感が視聴者満足度に大きくつながっているという特徴がこれまでより顕著に表れている。

 データニュース社(東京)が行なっているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」(調査対象2400人)によると、初回視聴率トップの天海祐希主演「緊急取調室」(テレビ朝日系、毎週木曜よる9時)は、初回満足度でもトップで3・87(5段階評価高満足度の基準は3・7以上)と好スタート。人気シリーズは初回から高い満足度になる傾向にあるが、高数値の背景には初回ゲストで圧倒的な存在感を見せた、容疑者役の三田佳子の演技が見逃せない。視聴者の感想では「女優二人の演技のバトルが面白かった」(33歳女性)という声が多く、主演の天海祐希への評価はもちろんだが、三田との取調室での緊迫した演技バトルがより“キントリ”の満足度を高めたようだ。

 “バトル”でもリアリティあふれるアクションバトルが視聴者を魅了しているのが「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(フジテレビ系、毎週火曜よる9時)。初回満足度は“キントリ”と僅差の3・82。「西島秀俊さんも小栗旬さんもアクションカッコ良すぎ!」(50歳女性)、「最強の出演者で、アクションがリアルで役者は凄い」(70歳女性)など、今期は刑事ドラマが多いものの、最近の傾向としてアクションを重視した作品は珍しく、逆にそれがインパクトになったようで高評価につながった。

 その2作とは対照的に、主演の好演が“泣ける”と話題なのが沢尻エリカ主演の「母になる」(日本テレビ系、毎週水曜よる10時)だ。初回満足度は3・68と高満足度に迫るスタートで、第2話では3・72と上昇。展開次第だが今後も伸びが期待できる。「感動して泣けた。沢尻エリカの演技がうまかった」(32歳女性)、「沢尻の演技にくぎ付け」(52歳女性)など、母・沢尻の演技は、女性を中心に共感とともに受け入れられている。

 主演やゲストだけでなく、今期は「半沢直樹」の“怪演”再びの香川照之(「小さな巨人」TBS系毎週日曜よる9時)や、作品のコメディパートを一手に担う生瀬勝久(「貴族探偵」フジテレビ系毎週月曜よる9時)といったベテランに加え、「演技は上手いし声は綺麗だし驚いた」(22歳女性)と初ドラマながら話題のブルゾンちえみ(フジテレビ系「人は見た目が100パーセント」毎週木曜よる10時)など、脇役の好演も光る。

 主演よりもそのサイドを固める俳優の演技や存在感によって、ドラマが思いがけなく脚光を浴びるケースは近年少なくない。視聴者の目が肥えているだけに、制作者が思いもしなかったところで、視聴率だけでは分からない話題のドラマになる可能性は十分ある。

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2017年5月1日のニュース