問題噴出もダメージ感じられない安倍1強政権と期待薄の民進党

[ 2017年4月24日 11:00 ]

民進党・蓮舫代表
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 【小池聡の今日も手探り】「政務三役から新たに中川問題が飛び出したけど、安倍政権にとってはあまりダメージにはなっていないようだ」。こう語るのは、政局の動向を注視し続ける永田町の住人。女性問題が発覚し4月18日に経済産業政務官を辞任した自民党の中川俊直衆院議員(広島4区)が同21日に離党したことを受けての発言だ。

 「新たに」ということで、最近、問題視された政務三役の言動をあらためて振り返ってみると―。

 今村雅弘復興相 4月4日の会見で、東京電力福島第一原発事故に伴う自主避難者の帰還を「本人の責任」とし、国の責任を質問した記者に「二度と来ないでください」「うるさい」などと発言。

 山本幸三地方創生担当相 4月16日に行われた地方創生に関するセミナーで、外国人観光客らに対する文化財などの説明が不十分との文脈で「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」などと指摘。

 3月には中川氏のように辞任に追い込まれたケースがあった。

 務台俊介内閣府・復興政務官 3月8日に開いた政治資金パーティーで、昨年9月に岩手県の台風被害の被災地を視察した際に長靴を持参せず職員に背負われたことに関連し「たぶん長靴業界は、だいぶもうかったんじゃないか」などと言及。当初は辞任を否定。事実上の更迭となった。

 短期間にこれだけ問題が噴出してもなお、安倍政権に対するダメージが感じられない点について、永田町の住人いわく、「“安倍1強”との言葉だけでは説明がつかない」。キーワードは民進党。「民進党が体たらくだから、問題が起きても政局に絡めた記事にもなりにくい」。同党の蓮舫代表は4月20日の会見で、中川氏をめぐる重婚やストーカーといった報道に言及し議員辞職を求めたが、「重婚に触れたことに対して、自民党サイドから(蓮舫代表の)二重国籍問題を蒸し返すようなことも聞こえてこない」。所属議員が起こした問題で的を外れた反論を展開すれば、いらぬ批判を呼び起こしかねないとの懸念はあるものの、力の差が歴然としている相手に追い込まれることはないという余裕の表れでもあるだろうとの見立てだ。

 ことし3月に結党1年を迎えた野党第1党。この間の昨年9月に行われた代表選に圧勝し党の顔となったのが蓮舫参院議員だ。党勢拡大を期待されての登板だった。

 しかし、4月15、16日に行われたFNNの世論調査で、民進党の支持率はわずか6・6%と最低を記録。中川氏の女性問題報道前の調査だが、批判を浴びた政務三役の言動といった“敵失”が相次いでいたことに加え、2月からの“森友国会”という追い風を受けていたにもかかわらず、この数字だ。

 「北朝鮮危機のさなかという、時の政権には有利な要素もあるが、それにしてもひどい。足元のぐらつきも関係しているのであろう」(政府関係者)。ぐらつきとは、共産党との共闘を受け入れがたいとした長島昭久衆院議員の離党届提出(4月10日)と、憲法に対する考え方が執行部と違うという細野豪志衆院議員の代表代行職の辞表提出(4月13日)。旧民主党時代からのお家芸とも揶揄(やゆ)される、まとまりのなさだ。

 4月22日に東京都議選(7月2日投開票)の公認候補予定者を応援するため、JR八王子駅前で街頭演説をした蓮舫代表は「1つしか選択肢がない政治ではなく、選択できる政治をつくりたい」と訴えたという。「1つしか選択肢がない政治」状況を招きかねない危機の一因は民進党にあり――こうした思いを拭い切れない、きょうこの頃である。

 ◆小池 聡(こいけ・さとる)1965年、東京都生まれ。89年、スポニチ入社。文化社会部所属。趣味は釣り。10数年前にデスク業務に就いた際、日帰り釣行が厳しくなった渓流でのフライフィッシングから海のルアー釣りに転向。基本は岸からターゲットを狙う「陸(おか)っぱり」。

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