藤井四段 羽生3冠撃破!驚異14歳、公式戦13連勝中勢い止まらん

[ 2017年4月24日 05:30 ]

 将棋の史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が23日に放送されたインターネットテレビ局「AbemaTV」の企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負」の最終第7局で、羽生善治3冠(46)と初対戦。111手で勝利を収めた。非公式戦ながら、天才中学生棋士が将棋界のスーパースターから歴史的勝利を奪った。

 とてつもなく高い壁をあっさりと乗り越えた。学ラン姿が初々しい14歳の藤井が、自身の生まれる前から頂点に君臨する32歳上の王者から殊勲の白星を挙げた。「最後何とか寄せが見えてよかった。普段通り全力を尽くそうと思っていた。僕の立場で羽生先生と対局できるのはめったにない機会。羽生先生の将棋を見てここまで来た部分もあるし、特別な感慨がある」。あどけない表情を変えず、中学生棋士は静かに勝利をかみしめた。

 戦型は藤井が得意とする角換わり。先手番の藤井が序盤から積極的に切り込んで激しい展開となり、中盤でじわじわとリードを広げていく。そして互いに持ち時間2時間を使い切った終盤。自陣の守りを固める藤井の111手目を見た羽生は、残り10秒の秒読みが始まると「負けました」と頭を下げた。「攻め込まれる展開になり、少しずつ苦しくなった。攻守にバランスが良く、しっかりしている将棋」。羽生は堂々と挑んできた14歳の若武者を称えた。

 新人棋士に課せられた異例の7番勝負企画を、藤井は驚異の6勝1敗で終えた。日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(47)や深浦康市九段(45)ら、実績のあるベテラン棋士から次々に勝利し「自分の実力は出し切れたと思う。本当に望外の結果だった」。公式戦では昨年12月のデビューから11連勝の新記録を打ち立て、現在も13連勝で継続中と、勢いはとどまるところを知らない。

 羽生も85年、史上3人目の中学生棋士として衝撃デビュー。96年には25歳で史上初の7冠独占を達成した。現在も王位、王座、棋聖を保持し、歴代最多のタイトル97期と6つの永世資格を持つ希代の棋士だ。その羽生をして「今の時点でも非常に強いし、ここからまたどれくらい伸びていくか。凄い人が現れたなと思う」と言わしめた。

 今局の収録は2月18日。その後の3月末には映画「3月のライオン」関連企画の非公式戦で再戦し、羽生がリベンジを果たしている。羽生の後継者として将棋界の頂点を目指す藤井の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日、愛知県瀬戸市生まれの14歳。5歳で祖母から将棋を教わる。小4で奨励会入り、16年9月までの三段リーグを1期で通過。同年10月1日に14歳2カ月で史上5人目の中学生プロ棋士となり、加藤一二三・九段(77)が持っていた14歳7カ月の最年少記録を62年ぶりに塗り替えた。得意戦法は角換わり。名古屋大学教育学部付属中3年。

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