「小さな巨人」長谷川博己 日曜劇場主演&40歳の覚悟 重圧を原動力に

[ 2017年4月16日 16:00 ]

日曜劇場「小さな巨人」の主演を務める長谷川博己(C)TBS
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 俳優の長谷川博己(40)がTBS日曜劇場「小さな巨人」(16日スタート、日曜後9・00)に主演。看板ドラマ枠初主演にプレッシャーを感じながらも「自分に圧をかけないと、役者の成長はない」と腹を据え、重圧をパワーに変える。今年3月に不惑を迎え「本当に気が引き締まっています」と気合十分。40代最初の作品への思いを聞いた。

 警視庁と所轄の確執や警察内部の闘いを軸とした警察エンターテインメント。事件の謎解きのみならず、出世や人事も含めたリアルな警察、警察官の姿を描く。

 長谷川が演じるのは、東京の治安を根底から支える警視庁「捜査一課」の刑事・香坂真一郎。将来は、警視庁4万人の現場警察官の頂点に立つ最高指揮官「捜査一課長」を期待されるエリートだったが、ある事件を機に人生が一変。所轄の警察署に左遷される。出世街道から外れる一方、懸命な所轄の同僚たちを目にし、刑事としての使命に悩みながらも、自らの正義を信じて悪に立ち向かう。

 長谷川は主人公のキャラクターについて「正義とは何か、ずっと自問自答している人間。そして、ストイックな人間だろうなというのは根底にありますね」と解釈。その上で、刑事を演じるにあたり「どこか、常に緊張はしていなきゃダメだなという気持ちはあって。封建的な上下関係のイメージをしています。少しデフォルメをしてでも、上の人間に対して必ず敬礼をしたり、そこはあまり軽くならず、管理教育を受けたというような感覚でやってみたいと思っています」と心構えを明かした。

 「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」などで知られる福澤克雄監督(53)が今作を監修。福澤門下生の田中健太氏(37)らが演出を務める。「同じシーンを繰り返し、異なる角度から何度も撮る」「どアップやカメラ目線のカットを使う」など、福澤演出は脈々と受け継がれている。

 第1話から顔のアップが効果的に使われるが、長谷川は「意識?特にはないですね」としながらも「カメラが近ければ近いほど、顔の細かい動きを気にしなきゃいけないというのはありますよね。瞬き1つで、そのシーンの意味合いが変わってくるじゃないですか。(瞬き1つで)動揺が見えたり。アップと引きで、そこは演技のスタイルも変えなきゃいけないと思います」と精密な演技を披露している。

 看板ドラマ枠「日曜劇場」には初主演となる。「この枠で主演を張れるなんて、それこそ捜査一課長になるくらい難しいんじゃないかと思います。そこに選んでいただいて、任せていただけるというのは、ありがたいこと。感謝しかないです。その意味で、今回の主演は僕の中でかなり大きいことですね」と大役への心境。プレッシャーは?と尋ねると「もちろんありますが、それはそれで全部、ちゃんと自分が受け止めないといけないと思っています」と覚悟の言葉が返ってきた。そして「今は逆にプレッシャーがいいように作用している気がします」と続けた。

 「自分に圧をかけるというか、いろいろな責任を背負うということをしていかないと、たぶん役者の成長はないですよね。(今回、最大の敵となる捜査一課長・小野田義信を演じる)香川(照之)さんもそうですし、これまで共演した皆さんもそうですが、いろいろなものを自分に課しているということは、お芝居を見ていて感じます。演技がうまいとか下手とか、そういう次元じゃない役者の魅力というのは、修羅場をくぐらないと得られないんじゃないか。責任を負うということが大事なんだと、すごく思います。演じていても緊張感がないと、やっぱりいいものにはならないんです。経験を繰り返してくると、カメラがあっても慣れてくるじゃないですか。そうすると、そこに何か1つ、プレッシャーのようなものを自分に課した方が、その先に行けるというか。そこは香坂に通じる部分があって。彼はできるかどうか分からなくても、徹底して行動して、自分で何でも背負って、そこから道を切り開く。そうやってきた人間だと思っています」。重圧や緊張こそが原動力になるとし、役柄に自分を重ねた。

 今年3月には40歳の誕生日を迎えた。「20〜30代の頃、40歳は俳優として一番やれる時だと思っていたので、もっとガンガンやっていかなきゃなという気持ちになりました。本当に気が引き締まっていますね。40歳になって最初に、この作品があったというのも縁を感じます。役者は待ちの仕事ですが、僕の中でこういう役をやれたらいいなと思っていた“勘”みたいなものと、僕を呼んでくださる制作側の方々にも長谷川にこういう役をやらせたらいいんじゃないかという“勘”みたいなものがあって、それが合致する年齢になってきたのかなという気はすごくしていますね」

 文学座を経て、ドラマ「鈴木先生」「家政婦のミタ」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」などで活躍。昨年は大ヒット映画「シン・ゴジラ」に主演し、作品を牽引した。40代第1作で新たな一歩を踏み出す。

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