作詞家の沢ちひろさん死去 沢田知可子「会いたい」など、著作権めぐり騒動も

[ 2017年4月10日 05:30 ]

 ヒット曲「会いたい」を手がけた作詞家の沢ちひろ(さわ・ちひろ)さんが亡くなっていたことが9日、分かった。享年は不明。関係者によると昨年2月に心不全で死去し、遺族の意向で公にしていなかった。沢さんは14年、「会いたい」の歌詞改変を巡り、歌唱した沢田知可子(53)の事務所代表らを著作者人格権侵害で提訴し、騒動になっていた。

 ♪今年も海へ行くって いっぱい映画も観(み)るって 約束したじゃない あなた約束したじゃない 会いたい――。90年に発売され、ミリオンヒットとなった「会いたい」の印象的なフレーズを生んだ沢さんが、ひっそりと世を去っていた。

 遺族に近い関係者によると、亡くなったのは昨年2月末ごろで、詳しい死因は不明。ここ数年は持病を抱えていたというが、「それとは関係ない形で亡くなった」(関係者)という。遺族は、事を大きくしたくないという思いから公表せず、親族らごく少数にしか沢さんの死を明かしていなかった。

 沢さんの名は14年、「会いたい騒動」でクローズアップされた。沢田がバラエティー番組で披露した「会いたい」の替え歌の内容に立腹。また14年に発売したアルバムに収録されたバージョンで冒頭にセリフを追加したなどとして、沢田側を相手取り訴訟を起こした。

 15年7月に提訴を取り下げたが、関係者によると「騒ぎが大きくなったことに疲れてのもので、沢田さんへのわだかまりは少しあった」という。ただ体調が悪化する中、ともにヒットを生んだ沢田への思いは軟化。亡くなる直前、遺族に沢田の今後を応援する思いと、09年ごろに親族と詞を共作し、お蔵入りしていた曲「冬のほたる」を、沢田の手で世に出してほしいという遺志を託した。遺族から連絡を受け、沢田は同曲を新録。これが沢さんの遺作となった。

 沢田は8日に新潟県長岡市で行ったコンサートで、6月21日発売の30周年記念アルバムに同曲を収録することを発表していたが、この時「遺作」ではなく「未発表曲」と表現。沢さんの死を公にしたくない遺族に配慮したものとみられる。

 沢田の所属事務所と所属レコード会社は、本紙の取材にいずれも「亡くなった事実は把握しているが、それ以上は何も言えない」と回答した。

 ◆沢 ちひろ(さわ・ちひろ)3月17日生まれ。生年、出身地は非公表。85年、レベッカ「ラブ イズ Cash」で作詞家デビュー。浅香唯、松本典子、渡辺満里奈や「うしろゆびさされ組」らに詞を提供した。「会いたい」のほか96年の近藤真彦「ミッドナイト・シャッフル」が代表作。

 ▼「会いたい騒動」 13年9月放送のTBS「さんまのSUPERからくりTV」で沢田が、♪いっぱいお金入るって まったくウソじゃない 歌手は一銭ももらえない 泣きたい――と替え歌を歌唱。沢田はのち「本当は嫌だった」などと話し沢さんに謝罪文を送ったが、これに端を発し沢さんが強い不信感を抱いた。

 さらに沢田が14年7月発売のアルバムで「会いたい with INSPi」と曲名を改変したうえ、冒頭部分に「アイム・イン・ラブ・ウィズ・ユー」と聞こえる言葉を足して詞を改変したとして、沢さんは11月末に沢田の所属事務所代表で夫の小野澤篤氏とCDの販売元を提訴した。

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2017年4月10日のニュース