古舘伊知郎 NHKの民放化を実感「こんなに柔らかくは作っていなかった」

[ 2017年4月6日 08:00 ]

「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」の司会を務める古舘伊知郎(C)NHK
Photo By 提供写真

 フリーアナウンサーの古舘伊知郎(62)がNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」(6日スタート、木曜後7・30)の司会を務める。NHKのレギュラー番組は「クイズ日本人の質問」以来14年ぶり。3月下旬に行われた収録後、取材に応じ、NHKの民放化について持論を展開した。

 名字のルーツを探るなど、名前をテーマにした雑学情報バラエティー番組。初回は「さいとう」を取り上げる。「さい」の字は何種類あるのか、お笑いコンビ「トレンディエンジェル」の斎藤司(38)が徹底取材を行う。

 昨年8月に放送された特番がレギュラー化。古舘は「年に1〜2回と思っていたので、ビックリしました」と驚き。3月に終了したドキュメンタリー番組「ファミリーヒストリー」の後番組だが「『ファミリーヒストリー』とテレコ(互い違い)になっていくじゃないかと読んでいるんですよ。『ファミリーヒストリー』も取材が凄まじいですし、名字も限界がありますから。休み休み、二毛作でやったらいいんじゃないですかね」と冗談めかしながら「レギュラーになって、本当にうれしかったです」と喜んだ。

 収録の手応えについては「すっごい楽しいの。フジテレビに比べて」と視聴率の苦戦が続くフジ「フルタチさん」(日曜後7・00)を引き合いに出し、報道陣は爆笑。「苦しい古舘は向こうで見てもらって、楽しい古舘はこっちで見てもらって」と自虐も交え、笑いを誘った。

 12年間キャスターを務めたテレビ朝日「報道ステーション」を昨年3月31日に卒業してから1年。14年ぶりのNHKレギュラーについては「隔世の感があります。僕がニュースの方に行っていた間に、NHKがグッと民放化していますね。『クイズ日本人の質問』をやらせていただいていた時は、こんなに柔らかくは作っていなかった。お笑いの方にロケに出てもらったり、バラエティー番組においては、NHKが民放的なものをガンガン取り入れていますよね」と実感し、NHKの変化を指摘した。

 今回の番組だと、古舘の“立ち位置”に表れた。従来のNHKならば「司会進行のために古舘さんをお呼びしたんだから、よろしく」となっていたところが、今回は赤木野々花アナウンサー(26)が番組進行を担うため、古舘は司会ながらも、アドリブを利かすなど比較的“自由”に振る舞える。「そういう僕の役どころも、民放的な感じがしますよね」

 かつてのNHKレギュラー「クイズ日本人の質問」。古舘が「マジックテープ」と口にしたところ、収録が止まったという。マジックテープが商標だったためだが「考査的な人がパーッと来て、話し合って」10分後の収録再開。野生ゴボウの実の粘着性にヒントを得て、ケミカルに作られたものと言い換えた。「その無難さたるや。そういう“お堅い”極みだったNHKが今はカジュアル語も使ったり。変わりましたね」と過去の体験談と比較した。

 当時、NHKの雑誌取材で「民放は、どう考えてもインフラでNHKに太刀打ちできない。NHKだって、どう考えても柔らかい商業放送のよさをまだ知らない」とNHKと民放の人事交流を提唱。現在に至り、ある意味“実現”したとも言える。「NHKも“遊び”の限度はあると思いますが、民放的な楽しませ方を取り入れて、奥行きが広いですよね。一方、民放は民放でNHK化した方がいいと思っているんです。例えるなら、仕事や勉強で疲れた頭を、医療や治療じゃなく、オイルマッサージで思い切りほぐすような民放のやり口もいいですが、民放にも感性を求めるような、知的好奇心をくすぐる番組がなきゃいけないと思います。NHKのよさ、民放のよさは色分けされますが、NHKの民放化はおもしろい」

 NHKらしく知的探究心を刺激しながら、民放的な柔らかさも兼ね備え、そこに古舘の話術が加わる。新しい番組になりそうだ。

続きを表示

2017年4月6日のニュース