有村架純が「ひよっこ」で新しい風を吹かせる

[ 2017年4月3日 10:00 ]

「べっぴんさん」のヒロイン・芳根京子(右)からバトンが手渡される「ひよっこ」のヒロイン・有村架純
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 【牧元一の孤人焦点】有村架純を見ると、ついほほえんでしまう。神様が与えてくれた卓越した容姿と健やかな内面。テレビやスクリーンを通しても、実際に取材で対面しても、その魅力に心をくすぐられる。

 4月3日スタートのNHK連続テレビ小説「ひよっこ」では、半年にわたり、月曜から土曜までたっぷりと、いずれ日本の映画・放送史にさんぜんと輝くであろう彼女を堪能することができる。

 「“ひよっこ”を見てもらって世の中に新しい風が吹いたらいい」と有村は語った。放送開始を前に、各メディアの取材に応じた時のことだ。

 朝ドラ出演は2013年4月の「あまちゃん」以来4年ぶり。大きな違いは、前回がオーディションを受けて主人公の母親の少女時代の役をつかんだのに対し、今回はNHK側から「今を時めく有村さんにお願いしたい」と懇願されてヒロインに決まったことだった。

 「“あまちゃん”の頃は自分のお芝居をすることで精いっぱいで周りが見えていませんでした。あれから学んだことがたくさんあって、今はちょっとだけ周りを見られるようになりました」と有村は女優としての成長を明かした。

 4年前は台本をじっくり読み込んで撮影現場に臨みながらも共演者が台本以上の動きをするとそれに対応することができなかった。しかし、現在は、台本に記されていない共演者の動きやセリフにも自然と反応できる。

 「現場で突発的に出る自分の動きがあって“楽しいな”と思いながら演じています。“あまちゃん”の時は役者さんとのキャッチボールができなかったんですけど、今は“あ、こういうのが出た”“今のは自然と出た”と思う瞬間が増えています」

 「ひよっこ」撮影開始前に出演した映画「3月のライオン」(現在、前編が公開中)が女優としての転機となった。この作品で演じたのは、主人公に愛憎半ばの思いを抱く複雑な女性。これまでの有村のイメージが「白」だとすれば、ここでは「黒」の一面を強く打ち出しており、新たな魅力に触れることができる。

 「それまで、素直でまっすぐな女の子の役柄が続いて、何を演じても同じに思えて苦しくなっていました。でも、“3月のライオン”で香子という女の子を演じさせてもらって、自分の中でギュッと詰まっていたものがフワッと解放された感じがして、演じることが楽しいと思えるようになりました」

 それ以後も、8月公開予定の映画「関ケ原」、10月公開予定の映画「ナラタージュ」などに出演してキャリアを重ねてきた。

 「“3月のライオン”以降は全て演じたことのない役柄で、今までとは違う部分を見せるチャンスだと思ってやらせていただきました。どう評価されるか不安なんですけど、私自身には、これまでとは違う新しい風が吹いた気がしました。その気持ちを継続したまま今に至っているので、“ひよっこ”で世の中に新しい風が吹くといいと思います」と比類のない愛くるしい笑顔を見せた。

 間違いない。新しい風は吹く。(専門委員)

 ◆牧 元一(まき・もとかず)編集局文化社会部。放送担当、AKB担当。プロレスと格闘技のファンで、アントニオ猪木信者。ビートルズで音楽に目覚め、オフコースでアコースティックギターにはまった。太宰治、村上春樹からの影響が強い。

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