ディラン ホテル密室授賞式…4カ月遅れのメダルと賞状喜んだ

[ 2017年4月3日 05:30 ]

12年フランスで公演したボブ・ディラン(AP)
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 昨年のノーベル文学賞に選出された米シンガー・ソングライターのボブ・ディラン(75)が1日、訪問中のスウェーデンの首都ストックホルムで非公開の“単独授賞式”に出席。選考主体のスウェーデン・アカデミーから約4カ月遅れでメダルと賞状を受け取った。

 ディランは昨年12月10日に同じストックホルムで行われた授賞式を「先約がある」として欠席。「名誉ある賞を光栄に思う」というスピーチが代読されたが、実際の受賞はお預けになっていた。共同電などによると、今回、ディランは欧州ツアーの皮切りとして1、2日にコンサートを開くため現地に滞在。初日の開演前にコンサート会場に隣接するホテルでディラン側のスタッフとアカデミー関係者12人が一堂に会し、本人の希望によりメディアの撮影が一切ない完全非公開の授賞式が開かれた。

 式では祝福のシャンパンが振る舞われ、終始なごやかな雰囲気で進んだ。出席者によると、ディランは「とても素晴らしい人」で、受賞を喜んでいる様子だったという。出席した同アカデミーのサラ・ダニウス事務局長はフェイスブックで「メダルの裏面に描かれたギリシャ神話の女神ミューズ、そして歌に聴き入る青年の絵にしばらく見入っていた」とディランの様子をつづった。

 ディランは同日夜のコンサートで「ロング・アンド・ウェイステッド・イヤーズ」など曲を約1時間半披露。演奏に徹して一言も話さず、受賞に関する談話も発表しなかった。

 文学賞受賞者にはアカデミーから賞金800万クローナ(約9900万円)が授与される。ただし受賞者には記念講演が義務づけられており、授賞式の欠席者は6カ月以内に記念講演をすることが受け取る条件。今回はその機会だったが講演は行われなかった。ディランは過去の欠席者の例にならい、講演を収録したものをアカデミーに送る予定としている。

 【ディラン授賞まで】

 ▼2016年10月13日 スウェーデン・アカデミーがノーベル文学賞をディランに授与することを発表

 ▼14日 アカデミーからディランに連絡が取れておらず、授与が伝えられていないことを地元メディアが報じる

 ▼21日 アカデミーのメンバーがディランから連絡がないことを「無礼かつ傲慢(ごうまん)だ」と批判

 ▼28日 ディランが「大変光栄に思う」と受賞の意思を示したことをアカデミーが発表

 ▼11月15日 ディランからアカデミーに手紙が届き「前から決まっている用事がありストックホルムに行けない」と授賞式欠席が伝えられる

 ▼30日 米ホワイトハウスでノーベル賞受賞者を祝う恒例の会合。ディランは欠席

 ▼12月10日 スウェーデン・ストックホルムでノーベル賞の授賞式。ディランは欠席し、スピーチは代読で行われた

 ▼17年3月29日 アカデミーのダニウス事務局長がブログで、ディランがストックホルムを訪れ、賞状やメダルを受け取ることを明かした

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