中村倫也「左江内氏」で魅せる軽妙さ ムロツヨシと織りなす「アホとアホ」

[ 2017年2月4日 09:00 ]

「スーパーサラリーマン左江内氏」でコミカルな掛け合いを見せる中村倫也(右)とムロツヨシ(C)日本テレビ
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 さえない中年男がある日突然スーパーマンになって大活躍する日本テレビ系コメディードラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」(土曜後9・00)。主演の俳優・堤真一(52)のとぼけた雰囲気、小泉今日子(51)の鬼嫁っぷりなど、登場人物の振り切れぶりが話題になる中、事件現場に必ず居合わせる刑事と警察官のハチャメチャなやりとりも見せ場の一つだ。その警察官・刈野助造を軽妙に演じるのが、若手実力派俳優として注目を集める中村倫也(30)。「笑いがとれるか毎回ビクビクしている」と打ち明けながらも「自由度が高い現場。観ている人をワクワクさせられれば」と力を込める。

 俳優・ムロツヨシ(41)演じる小池郁男刑事と常に行動を共にし、現場に駆けつけては2人ですっとぼけた言葉の応酬を繰り広げる。「勇者ヨシヒコ」(テレビ東京系)シリーズなどでおなじみの演出家・福田雄一氏の世界観が詰まったこのやりとり。演じる中村も「現場が笑いに包まれている感じ。自由度も高いですし」と充実した様子をみせる。ただ、一方では知られざる苦悩も。「ふらふらっと現れては、台風のように何かやって去っていく。確実に笑いを求められる登場の仕方で、自由度が高い分、怖い。ムロさんと戦々恐々としているんです」

 実はこの2人の場面だけは、毎回リハーサルがないという。「スタンバイできたら、“はい本番です”って。笑いが取れるかビクビクしながら、やるしかないって思っています」。ただ、中村もムロツヨシも福田作品の常連だけあって、一発勝負ができるのは福田氏からの絶大な信頼があるからこそ。「中身を求められるゴールデンという時間帯で、こういうアホっぽいことをやる意義を(福田氏は)感じている。怒られるのも覚悟で、最後までその方向を貫こうという話はしています」。自分は演者としてやりきるだけ。福田組の一員としてその覚悟も口にする。

 ムロツヨシとの息の合った名コンビぶり。事前に綿密な打ち合わせをしていると思いきや「特にないんです」と明かす。数々の作品で共演を重ね「モノづくりの共通認識というか、意思疎通みたいなのはざっくりとできている」。あえて確認し合っていることといえば「これダサいねってことはやらない」ことだけ。例えば「言葉では表現しにくいのですが、セリフをかんだ人に“かんだ”っていうのはダサいというか」。別方向のベクトルで2人がアホを突き詰める。「その投げっぱなし感が楽しいですし、僕はムロさんの絶対的な部分の間をセンス良く縫っていく感じ。お互い好き勝手やりながらも最後は混ざり合うというか」。お笑いコンビでいう「ボケとツッコミ」とも違う感覚。中村いわく「『アホとアホ』ですかね」

 17歳の時に映画「七人の弔」で芸能デビューした中村も、昨年12月に30歳の誕生日を迎えた。これまでがむしゃらに打ち込んできた芝居。30代に突入してもその姿勢は変えないが「これまで点だったものが線になっていく。バラバラに思っていた経験が、手をつないで強くなっている感覚がある」と得てきたものが力になっていることを実感できているという。今作品でも感じている手応え。ドラマ終盤へ向け「福田さんですから、どんな悪だくみを考えてるか分かりませんが」と笑いつつ、「僕たちが画面に出てきたら『おっ、来た来た』ってワクワクさせられるようにしたいし、みなさんもワクワクしてもらえたらうれしいですね」。経験と信頼が醸し出す、中村とムロツヨシとの掛け合いからますます目が離せなくなりそうだ。

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