「ブシメシ!」草刈正雄 時代劇“無縁”が一転 直感で脚本選び妥協せず

[ 2017年1月24日 10:00 ]

BSプレミアム「幕末グルメ ブシメシ!」に出演している草刈正雄(C)NHK
Photo By 提供写真

 昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」で主人公・真田信繁(堺雅人)の父・真田昌幸役が大人気を博した俳優の草刈正雄(64)が、同局BSプレミアム「幕末グルメ ブシメシ!」(火曜後11・15)に出演。「ドラマチックな役」と評する殿様を熱演している。これが「真田丸」終了後、初のドラマ出演。昨年は「最高の1年だった」と振り返った草刈だが、若かりし頃は意外や「時代劇に全く向かないと思っていた」と“コンプレックス”を持っていたことを明かした。

 「ブシメシ!」はマイペースで気の弱い勤番武士、酒田伴四郎(瀬戸康史)が“料理”で人々の悩みやトラブルを解決する1話完結の“ほのぼの時代劇”。草刈は、誰も知らない秘密の趣味を持つ高野藩藩主・松平茂照を軽快かつ巧みに演じている。

 今作の役柄について「2つの顔を持つというドラマチックな役は今までやったことがなかったので、演じていて楽しいです」と魅力を語る。「今までそういった映画を見ていて、やってみたいなと思っていたので、役者冥利に尽きますね。それから、時代劇の王道かつコミカルな作品というのは珍しいですよね。そこにも惹かれました」と作品に惚れ込んでいる。

 映画好きだった母親と足繁く映画館へ通った影響で、子どもの頃から時代劇好き。しかし「役者になっても、まず時代劇は無理だろうなと思っていました」。自身は時代劇に不向きだと“劣等感”を抱いていた。西洋風の濃い顔立ちが理由だ。

 時代劇初挑戦は1974年の映画「沖田総司」(監督・出目昌伸氏)。初の時代劇出演にして主人公・沖田総司を演じた。「怖かったです。今は撮った映像をすぐに見ることができますけど、昔は1週間から10日くらい経たないと見ることができないんですよ。どう映っているのか不安でしたね」と当時の心境を明かす。

 だが、映像を見てみると、思いのほか違和感がなかったという。「時代劇に全く向かないと思っていたので、驚きましたね。やはり僕は日本人なんだなと思いました。そういったところは画に出るんですかね」。同作の好演をきっかけに、76年の大河ドラマ「風と雲と虹と」で忍者役に抜擢。「それ以来、NHKさんは時代劇で声を掛けてくれるんですよ。これは役者として助かりましたね」と役者人生の転機を振り返る。

 昨年一大ブームを巻き起こした「真田丸」では天才武将・昌幸を熱演。大河史上に残る“当たり役”となった。同作について改めて聞くと「いろいろなことが本当に楽しい、最高の1年でした」と声を弾ませる。「お芝居というものは、やはり苦しいものなんですよ。ずっと楽しんでやれた作品というのは、あまりありません。もちろん楽しめた作品も過去にありましたけど、『真田丸』はすべてが楽しかったですね」

 作品のすべてを楽しめた理由については、脚本を手掛けた三谷幸喜氏(55)の名を挙げる。「やはり“本”に恵まれましたね。三谷さんが面白おかしく書いてくれました。生意気かもしれませんが、脚本を読んで自分の直観で何か感じるものがないと、演じることは難しいんですよ。僕の場合、そこを妥協して演じると芝居がまずいことになるんです。そういう経験も何度かしたことがあるので、僕としては脚本に“ビビッと”ときたものに携わりたいという気持ちはありますね」

 「ブシメシ!」には次女で女優の草刈麻有(23)が、鶏鍋「きじや」店主の娘・お羽として出演。過去にも麻有と父娘共演を果たしている草刈は「昔は『ちゃんとセリフ入っているのかな』とか心配だったんですけど、あまり心配しないようになりましたね。現場に行くと、ちゃんとセリフが入っていますし」と愛娘の成長ぶりに目を細める。「言いたいことはいっぱいありますけど、あまり言うとね」と笑いながら「本人も楽しかったと思います。時代劇は初めてでしょうから」と父親としての顔をのぞかせていた。

続きを表示

2017年1月24日のニュース