毎熊克哉 29歳、遅咲きの新人!専門学校の同級生・小路監督とW歓喜

[ 2017年1月19日 05:30 ]

2016年毎日映画コンクール新人賞

鋭い眼光でカメラを見つめる毎熊克哉
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 2016年毎日映画コンクール(第71回)の各賞が18日、決定した。飛躍が楽しみなフレッシュさんに贈られるスポニチグランプリ新人賞には「セトウツミ」の中条あやみ(19)と「ケンとカズ」の毎熊克哉(29)が選ばれた。表彰式は2月15日、川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールで行われる。

 毎熊は3月に30歳になる遅咲きの新人。インタビューを受けるのも初めてで「学校の勉強でも何でも賞をもらったことがなくて、不思議な感じです」と受賞の実感はまだ湧かない。誰よりも喜んでくれたのは東京フィルムセンター映画・俳優専門学校時代の同級生でもある小路紘史監督(30)。「かっちゃん、やったね!凄いよ!」と興奮していたといい、「歴史ある賞。しっかり受け止めないといけない」と表情を引き締めた。

 自動車修理工場で働きながら覚醒剤の密売で金を稼ぐケンとカズの物語で、11年製作の短編版からカズ役を続投。言葉より先に拳が出る凶暴さの一方、認知症の母を施設に入れる金が必要という複雑な事情を抱えた内面の寂しさや脆(もろ)さを、ひりつくように鋭く演じた。「何をやらかすか分からない危ない男。普段のへなちょこな自分には全くない要素」という役に臨むため、眉を細く剃(そ)り、パーマをかけて外見を一変させ、イライラした状態を保つ生活を続けた。

 小路監督の長編デビュー作で、毎熊とダブル主演したケン役のカトウシンスケ(35)ら出演者も無名の新人ばかり。「日の当たらないところで上を見上げる映画の中の彼らは、まさに僕らなんです。みんな知名度もないし、撮影で40日近く拘束されて財布はどんどん寂しくなるけど、“映画を絶対に世に出そう”と静かに燃えていた」。その熱が全編にみなぎり、15年の東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞するなど高く評価された。

 元は映画監督志望。3歳の時に「E.T.」を見て映画作りに興味を持ち、大好きな「ターミネーター2」のVHSやDVDは見すぎて壊れ何度も買い替えた。専門学校では映画監督科コースに進んだが俳優に転向。憧れはトム・ハンクス(60)で「映画の中で何を一番見ていたかと考えたら、俳優のちょっとした表情だった。目で語れる俳優になりたいと思っています」と目標を語る。この作品をきっかけに映画界で熱視線が注がれている。「今回は好きな仲間とやって世に出せたので、ここから先が本当の勝負どころ。人も作品も出合いなので、出合ったものを大事にしたいと思います」。18歳の時に出会った監督との作品を名刺代わりに、これからスクリーンで飛躍する。

 ◆毎熊 克哉(まいぐま・かつや)1987年(昭62)3月28日生まれ、広島県出身の29歳。専門学校を卒業後に俳優活動を始め、10年に初出演舞台「TIC―TAC」で主演。今年は出演映画「ろくでなし」などが公開される。特技はダンス、趣味はパーカッション。1メートル80、64キロ。血液型A。

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