2011年以来初の節電要請なし…震災後根付いた節電意識

[ 2016年11月29日 10:10 ]

 週末、有楽町を歩いていると目に入ってきたのは緑色に輝く無数のクリスマスイルミネーション。人々は足を止め、目を奪われていた。

 経済産業省はこの冬、2011年の東京電力福島第一原発事故以来初めて、一般家庭や企業に対する節電要請をしないと決めた。国民に節電が定着したことで、冬の電力ピーク時でも電気が足りると判断したからだという。

 街のイルミネーションにも節電の意識は浸透している。太陽光や風力など、地球に優しい再生可能エネルギーを利用して得られた電力の使用を奨励する「グリーンパワー・クリスマス」の参加団体は、08年のスタート以来年々増えている。参加を呼びかけている新エネルギー財団の担当者は「昨年は1188団体に参加していただきました。環境に優しいエネルギーを広めようという趣旨が広がりを見せていてありがたいです」と話した。

 東京・丸の内仲通りの「丸の内イルミネーション2016」では、太陽光や風力エネルギーで発電されたグリーン電力を使用。また、電球一つあたりの使用電力を従来品より約65%カットする「エコイルミネーション」を採用し、「日本夜景遺産」に認定された。仙台市で行われている「2016 SENDAI光のページェント」では、バイオマス発電による電力を使用するなど、全国で工夫を凝らしたイルミネーションが増えている。

 イルミネーションは節電傾向だが、その光に照らされる人々の心は従来通り温まることだろう。クリスマスまで約1カ月、できるだけ多くのイルミネーションを見に行きたい。(記者コラム)

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2016年11月29日のニュース