「真田丸」木村重成好演の白石隼也 無欲で目立つ 人気狙い失敗の過去

[ 2016年11月26日 08:00 ]

大河ドラマ「真田丸」で木村重成を熱演する白石隼也(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で、俳優の白石隼也(26)が木村重成役を好演している。“ライダー俳優”として広く知られるものの、大河ドラマ出演者陣の中では若手俳優という立ち位置。一方で木村重成もまた、歴戦の猛将たちと共に過ごしながら日々成長していく若武者として描かれる。そこには自身の立場を役柄に重ね合わせて演じる姿があった。

 テレビ朝日の特撮ドラマ「仮面ライダーウィザード」(2012年)で主演を務めて以降、多くのドラマや映画で出演機会が増えた。しかし大河ドラマは今作が初めてで「役者をやる上で大河というのは一つの目標なので、いつか大河に出られたら良いなと思って乗馬を習ったりしていました」というほど出演を熱望していた。

 今作で演じる木村重成は、豊臣秀頼(中川大志)の直臣として仕える若き武将。大蔵卿局(峯村リエ)や織田有楽斎(井上順)と対立することの多い牢人衆にも理解を示し、主人公・真田幸村(堺雅人)らに導かれながら大坂の陣を戦い抜く。

 中でも最初に大きな印象を与えたのが、第43話「軍議」(10月30日放送)で描かれた軍議の場面だった。徳川家康(内野聖陽)の大群が大坂城に迫る中、あえて京に攻め込むという幸村の策に対し「まとまりのない牢人たちが最も力を発揮するのは、この大坂城で一丸となって敵とぶつかる時ではないでしょうか」と力強く主張した。

 「色々な思いや緊張感からか、体は震えていました」と当時の撮影を回想。「あのシーンは初めての軍議であって、すべてが初めてなのですが、それを悟られないように牢人たちと戦っていかなければいけなくて、ある意味(重成は)自分を大きく見せようとしているなと僕は捉えました。百戦錬磨の牢人衆に負けないようなパワーでいかなきゃなと思って勢いよく演じたんです」

 「そうしたら、堺さんからそのシーンに対して『ああいう芝居をしてくると思わなかったよ。凄く良かったんじゃないですか』とおっしゃっていただきました」とお墨付きをもらったという。ベテラン俳優陣の中で演技する機会が多く緊張感は常に漂う。それでも「皆様のパワーに負けないよう自分なりに演じています。その作戦については…秘密です」と笑った。

 「役者をやっている以上、売れたいとか人気になりたいとか思ってしまいます。でも、そんなことを思って芝居をやっていたら、失敗してきた過去があるので…。やっぱり売れるために芝居をするものではないと思うんですよね」と演技にはあくまで謙虚。

 しかし「(爪あとを残したいという気持ちも)心のどこかに間違いなくあって、それを意識的につぶしています。“ここで目立ってやろう”と思うと、必ず空回りする気がするので、あと他の役者に嫌われるので…。大河に出るというのは名誉なことだし、注目も集まります。だからこそ皆が頑張る現場だと思うので、逆に、その(目立ちたいという)欲を排除したら良い意味で目立てるんじゃないかと思います。そういう意味では木村重成的ですね」と自身を役柄に重ね合わせた。

 「『木村重成といえば、このエピソード』というようなものがまだ描かれていないので、何か1個でもいいので、重成ファンが喜ぶエピソードを入れてもらえればありがたいな」と今後の展開にも期待。クライマックスに向けて武将として成長していく木村重成とともに、俳優・白石隼也も進化する。

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2016年11月26日のニュース