【記者の目】国民主役型に変身した紅白 音楽は「聴く」から「参加」へ

[ 2016年11月25日 09:20 ]

「第67回紅白歌合戦」出場者発表

「第67回NHK紅白歌合戦」出場歌手発表記者会見のステージ
Photo By スポニチ

 NHKは2020年東京五輪を盛り上げようと、19年までの4年間、紅白歌合戦のテーマを「夢を歌おう」とする。その1年目の今年、番組の主役に選んだのは「国民」だった。AKBの紅白版総選挙のほか、桐谷健太と一緒に歌いたい視聴者を募集し、「RADIO FISH」と一緒に踊りたい人を募る。こうした国民参加型の企画が目立った。

 「なぜ?」という印象もあるが、音楽業界の現況を反映したように見える。今の音楽業界を支えているのはライブや握手会などの参加型イベント。ライブ売上額は10年からの5年間で約2・5倍に成長している。音楽が「聴く」から「参加する」ものへと変化している時代の流れが、紅白にも影響していると感じた。

 国民に受け入れられるかは分からない。だが、参加型の流れは国民的な歌手やヒット曲が生まれなくなった現代で、紅白のよりどころになる可能性を秘めている。出場歌手や歌唱曲の選定に、一般投票を取り入れれば紅白はまた一変するだろう。そして“フェス型紅白”への移行も考えられる。東京五輪に向けて完成する新国立競技場は、その舞台に最適ではなかろうか。 (放送担当・伊藤 尚平)

続きを表示

2016年11月25日のニュース