「変態仮面」が「西郷どん」に!鈴木亮平抜てきは大当たり!!

[ 2016年11月8日 09:15 ]

2018年大河ドラマ「西郷どん」主演の鈴木亮平

 【牧元一の孤人焦点】再来年の大河の成功を確信した。映画「HK 変態仮面」(2013年4月公開)をあらためて鑑賞しての率直な思いだ。この映画の主演は鈴木亮平(33)。2018年1月からのNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主役に抜てきされた話題の俳優である。その人が変態仮面として全裸に近い姿で、女優の清水富美加(21)扮(ふん)す女子高生に「君のパンティーを俺にくれ!」と哀願するシーンがある。今見返すとさらに衝撃的だ。国民的ヒーローとも言える西郷隆盛とのギャップは大きい。が、しかし、その大きなギャップこそが面白さであり、成功の鍵なのではないか。

 実は「西郷どん」の主演に鈴木が内定したという情報を耳にした時、鈴木には荷が重いのではないかと懸念した。大河出演の経験もないし、現在放送中の「真田丸」の堺雅人(43)や次の「おんな城主 直虎」の柴咲コウ(35)に比べれば実績や知名度で劣る。ところが、11月2日の主演発表の席で原作の林真理子氏(62)、脚本の中園ミホ氏(57)という大御所2人に挟まれた姿を目にしたら、逆にその新鮮さが際立ち、悪くない、いや、良い、これしかない、と直感した。

 鈴木は記者から「以前から大河に出たいと言っていましたね?」という質問を受けると「ばれてました!?」と笑い、「大河に出たいとずっと思ってました。日本の俳優ならみんな思っていると思います。割と僕はそれを公言してました。それがかなって光栄です」と率直に語った。ぼくとつそうな人柄がにじみ出ていた。この人が変態仮面を演じていたなんて、とても信じられない。

 林氏と中園氏にとって鈴木は意中の主役だったようで、林氏は「2人の夢がかなってうれしい」と話した。中園氏と鈴木は、中園氏が脚本を担当したNHK連続テレビ小説「花子とアン」(2014年放送)に鈴木が花子(吉高由里子)の夫役で出演した縁があり、鈴木は「中園さんは“花子とアン”で僕を抜てきしてくれた恩人」と明かした。林氏によると、この日の控室で中園氏はこれから西郷を演じる鈴木に「いつ脱いでもいいような体になりなさい」と要請したという。変態仮面で披露された、鍛え上げた肉体美が大河で全国津々浦々に広まる機会が訪れそうだ。

 中園氏は西郷隆盛の魅力について「子供みたいに純粋な面と、間違った世の中をぶっ壊そうとするクールでタフな面のギャップ」と語った。鈴木も「人を深く愛することが得意で、それによって周りからも愛される人間になっていく愛嬌(あいきょう)と、国を変えようと決意した時の鬼気迫る覚悟のギャップがいい」と同意した。

 林氏は「“こんな西郷さん見たことがない!”という小説を今書いている。それがドラマになるともっと凄いことになるんじゃないかと今からワクワクしてます」と話した。林氏の原作にあるボーイズラブの要素も取り入れられそうな大河「西郷どん」は、世間がこれまで抱いてきた西郷隆盛像とのギャップも生じさせることになるだろう。

 とにもかくにもテーマはギャップ。それを表現するのに鈴木亮平は最適な役者である。(専門委員)

 ◆牧 元一(まき・もとかず)編集局文化社会部。放送担当、AKB担当。プロレスと格闘技のファンで、アントニオ猪木信者。ビートルズで音楽に目覚め、オフコースでアコースティックギターにはまった。太宰治、村上春樹からの影響が強い。

続きを表示

2016年11月8日のニュース