乃木坂卒業発表の橋本奈々未 清々しさが予感させる大きな喪失感

[ 2016年10月26日 10:00 ]

乃木坂46卒業と同時に芸能界引退も発表した橋本奈々未
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 乃木坂46ファンは大きな喪失感を味わうことになるだろう。1期生として2011年から活動してきた人気メンバーの橋本奈々未(23)が10月19日深夜、グループからの卒業と芸能界引退を発表した。

 この日、ニッポン放送「オールナイトニッポン」特番での発表を前に、スポーツ新聞向けの記者会見が設けられた。事前に、卒業に関する会見と想定されたが、会見が進んでいく中での「卒業して何をするんですか?」という質問に対する答えは想定外のものだった。

 「芸能活動はしないです」

 女性ファッション誌「Can Cam」の専属モデルでもある人気者の橋本は卒業後も当然芸能活動を続けるとみられていた。これまで乃木坂の公式ライバルのAKB48グループからも前田敦子(25)、大島優子(28)、松井玲奈(25)らが卒業していったが、人気メンバーだった卒業生の中で芸能界を去った人はいない。

 橋本の答えに驚いた記者が「芸能界から引退するということ?」と問い直すと、橋本は「はい」と明確に答え、「一般の女性として普通に生きたい。自分が大事にしたいと思うものがそっちにあるから」と説明した。

 人気アイドルから一般人へ…。少し大げさに言うならば、1980年に山口百恵が引退して家庭に入ったのと似たような衝撃だ。

 この会見であらためて分かったことだが、橋本は独特のアイドル観を持っていた。

 「5年前、AKBさんの卒業発表を見ていたので、乃木坂に入った時から“いつかは卒業する”と考えていた。私は入った場所がたまたま芸能界だったので、その先を考えたことがなく、そのまま5年間来た。活動を続けていく中で“私はそっち(一般人)かな”という気持ちになった」

 アイドルとして生きていくこと、芸能界で生きていくことを目標に活動するメンバーが多い中で異質の考え方だ。もちろん、他のメンバーに負けないように努力して来たからこそ、第一線を走り続けて来られたのだが。

 記者から「芸能界でやり残したことは?」と問われると「私には見えないものや、踏み込んでいない領域はたくさんあるけれど、このグループでいろんなお仕事をさせてもらって自分なりに充実した生活を送れた」と、後悔が全くないことを示した。

 表情は晴れやかで涙は一切見せなかった。引退後の仕事に関しては「今、具体的に言えるものはない」と口を閉ざした。

 「私を好きだと言ってくれる人は乃木坂が好だと思うので、これからも乃木坂を応援してほしい。私も映像には残っているので、たまに“ああ、こんな子もいたな”と思い出してください」

 淡々と語る言葉に、清々しさがあった。そして、その清々しさが、来年2月以降の喪失感の大きさを強く予感させた(記者コラム)

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2016年10月26日のニュース