吉田鋼太郎 50代で大ブレーク“街を普通に歩けない状態”が「うれしい」

[ 2016年10月16日 11:20 ]

俺の顔 吉田鋼太郎(下)

柔和な表情を見せる吉田鋼太郎。大人の男性の色気が漂う
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 今、ダンディーな俳優として真っ先に名前が挙がるのは吉田鋼太郎(57)だろう。大人の男性の色気と渋さで、女性はもちろん、同性も魅了。日本を代表するシェークスピア俳優として舞台で活躍する一方、ドラマや映画のオファーが引きも切らない。50代で超売れっ子になった“ミスターダンディズム”の素顔をのぞいた。

 中学時代は友人3人とアコースティックギターのバンドを組み、米グループ「クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング」(CSN&Y)のコピーに熱中した。俳優を志すきっかけは、高校2年の時。劇団雲のシェークスピア劇「十二夜」を見て衝撃を受けた。

 「シェークスピアは本で何度かトライしたけど、頭に入ってこなくて途中で投げ出した。それが舞台で見たら全然違って、“芝居っていうのは凄い”と驚きました」

 上智大ドイツ文学科に進学し、シェークスピア研究会に入部。20代、30代は小劇場で経験を積み、大きな転機は41歳の時、演出家の故蜷川幸雄さん(享年80)との出会い。プロデューサーと知り合いだった縁で、蜷川さん演出の「グリークス」に初参加した。

 「蜷川さんに認められるか、僕としてはのるかそるかという感じ。最初の稽古の時は緊張したけど、蜷川さんが“良かったよ。何にも縛る物はないから、好きなことをやっていい”と言ってくれた。僕を認めてくださり、芝居には枠もスタイルもないってことを改めて巨匠の口から聞いて、うれしかったです」

 蜷川作品の常連となり、主役にも抜てきされた。スターに押し上げてくれた蜷川さんに「本当に恩人です」と感謝した。

 50代になってから映像作品への出演も増え、14年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」で大ブレーク。「今は街を歩いていると声を掛けられて普通に歩けない状態。でも売れなかった時代が長かったので、とってもうれしいんです」

 好きな酒席になかなか参加できないほどの多忙ぶり。休日は自宅で邦画、洋画、新旧問わずDVDで映画を見てリフレッシュする。好きな作品は米俳優ロバート・デ・ニーロ(73)主演の「ディア・ハンター」(78年)。ベトナム戦争を題材に兵士の苦悩や友情を描き、アカデミー賞作品賞などを受賞した名作だ。「映画館に通い詰めて10回くらい見ました。世界がどうなっているか、それに対して人間はどうあるべきかを描いた迫力に圧倒されるんです」。骨太作品に夢中になる剛毅(ごうき)さと色っぽさの硬軟が同居し、モテ男の魅力を生み出している。

 ◆吉田 鋼太郎(よしだ・こうたろう)1959年(昭34)1月14日、東京都出身の57歳。大学3年の時に休学して劇団四季に入り、シェイクスピア・シアター、東京壱組などを経て、97年劇団AUN旗揚げ。98年のNHK大河ドラマ「徳川慶喜」に出演し、2010年のフジテレビ系「ギルティ 悪魔と契約した女」から本格的に映像に進出。主な出演作はTBS「半沢直樹」、テレビ東京「東京センチメンタル」、映画「新宿スワン」など。これまでに紀伊国屋演劇賞個人賞など受賞。今年元日に22歳下の女性と結婚。1メートル74、68キロ。

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